NeoMagic

NeoMagic社：モバイルビデオチップ市場の先駆者

NeoMagic社は、アメリカ合衆国カリフォルニア州サンタクララに本社を置く半導体メーカーです。かつては、モバイルビデオチップ市場において重要な役割を果たしていました。特にWindows 95/98が主流だった時代には、多くのノートパソコンメーカーがNeoMagic社のチップを採用していました。本稿では、NeoMagic社の歩みと、同社を代表するモバイルビデオチップについて詳しく解説します。

イノベーションと市場のニーズ

NeoMagic社は、他社に先駆けてEmbedded構造を採用し、ビデオメモリをチップに統合したモバイルビデオチップを開発・販売しました。これは、省スペース化と低コスト化を実現する画期的な技術でした。Direct3Dには対応していませんでしたが、3D性能よりも低価格と小型化を重視した戦略は、当時のノートパソコン市場において大きな成功を収めました。多くの大手パソコンメーカーが、コストパフォーマンスに優れたNeoMagic社のチップを自社製品に採用したのです。

市場変化への対応と撤退

しかし、ノートパソコン市場は急速に進化しました。ユーザーは、より高性能なグラフィックを求めるようになり、高性能なグラフィックコアを備えたATIやS3といったデスクトップ向けビデオチップメーカーがモバイル市場に参入し始めました。さらに、統合チップセットの性能向上もNeoMagic社のシェアを圧迫しました。こうした市場環境の変化に対応できず、NeoMagic社は2000年、PC向けビデオチップ事業から撤退することになりました。

撤退後、NeoMagic社は小型デバイス向けのメディアプロセッサ事業などに注力し、PC向けチップの開発・製造は行っていません。

主要製品

NeoMagic社は、いくつかのシリーズのモバイルビデオチップを開発しました。代表的な製品として、以下が挙げられます。

MagicGraph 128シリーズ: 128bitのグラフィックエンジンを搭載し、PCIインターフェースを採用していました。2MBのビデオメモリをチップに内蔵していた点が特徴です。最終モデルであるMagicGraph 128XDのみOpenGLに対応していました。

MagicMedia 256シリーズ: こちらも128bitのグラフィックエンジンを搭載し、PCIインターフェースを採用していました。2.5MBのビデオメモリとAC'97準拠のサウンド機能を統合していました。上位モデルであるMagicMedia 256XL+(NM2380)は6MB、MagicMedia 256AV+(NM2230)は3MBのビデオメモリを搭載していました。

まとめ

NeoMagic社は、モバイルビデオチップ市場において、低価格と省スペース化という独自の強みを持つ製品を提供することで大きな成功を収めました。しかし、市場の高度化と競争激化の中で、PC向けビデオチップ事業から撤退せざるを得なくなりました。それでも、NeoMagic社の技術革新は、当時のノートパソコンの発展に貢献したことは間違いありません。現在、同社はPC向けチップの開発・製造を行っていませんが、その歴史は、半導体業界の歴史において重要な1ページを飾っています。

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