NetBoot

NetBootは、Mac OS X Serverのbootpdを基盤とした、ネットワークブート機能です。この技術により、Classic Mac OSやMac OS Xを、HTTPS、AFP、NFS、マルチキャストASRといったプロトコルを通じてネットワーク経由で起動できます。NetBootの大きな特徴は、クライアント側のローカルハードディスクを使用しない「ディスクレスNetBoot」運用が可能な点です。この機能により、iMacなどのMacをシンクライアントとして活用することができ、システム管理者はクライアントのOSやアプリケーションを一元的に管理することが可能になります。

さらに、NetBootは通常のクライアントに対しても、同様のネットワークインストール機能を提供します。これにより、Mac OS Xや各種ソフトウェアのインストール作業を効率化し、システム管理者の負担を大幅に軽減できます。特に、大規模なシステム環境においては、個々のクライアントに対するインストール作業をネットワーク経由で一括して行えるため、時間と労力を大幅に削減できます。

Appleがエンタープライズおよびサーバー事業を展開していた時期（Mac OS X Server v10.6以前）には、NetBootはそのセキュリティ向上、運用・管理の簡素化、そしてUNIXベースであるという点が高く評価され、多くの組織で導入されました。特に日本では、東京大学、あおぞら銀行、神戸大学などの大規模組織で、世界的に見ても有数の規模のNetBootシステムが構築されました。これらのシステムでは、数十台以上のXserveと千台以上のiMacが運用されており、その大規模さが伺えます。

NetBootの利用は、教育機関や金融機関などの大規模なクライアント環境において、効率的なシステム管理と運用を実現するための重要な要素でした。シンクライアントとしての利用はもちろんのこと、OSやアプリケーションの配布・管理においても、NetBootはその高い柔軟性と効率性を示しました。また、NetBootの持つネットワークブートの特性は、セキュリティ面においても有効であり、クライアント側のデータの保護や集中管理を可能にしました。

このように、NetBootはMacの運用において重要な役割を果たし、システムの柔軟性と管理の効率化に大きく貢献しました。ネットワークブートという技術は、今日のクラウド環境においても、仮想マシンなどの管理において重要な技術として受け継がれています。NetBootは、その先駆けとも言える技術であったと言えるでしょう。

関連情報として、以下の外部リンクもご参照ください。

アップル - Mac OS X Server Snow Leopard- クライアント管理
Mac OS X Server: NetBoot 対応コンピュータ
NetBoot for Mac OS 9 に関する情報とソフトウェアのダウンロード (日本)
Macをシン・クライアントに情報の流れを改善して業務改革
東京大学情報基盤センター 教育用計算機システム
神戸大学 学術情報基盤センター

もう一度検索