News Wave

静岡第一テレビ『News Wave』：ローカルニュースの復活と挑戦

1991年4月1日から1994年9月30日まで、静岡第一テレビ（SDT）で放送された『News Wave』は、平日夕方の顔として親しまれたローカルワイドニュース番組でした。1987年秋の改編で17時台から撤退して以来、3年半ぶりに同時間帯にローカルニュースが帰ってきたという点で、大きな意義を持っていました。

復活の背景：ローカルニュース枠の拡大

『News Wave』誕生の背景には、SDTの『自社制作枠拡大』という戦略がありました。1987年9月、基幹ニュース枠のネット・ローカル統合に伴い、17時台からローカルニュースが消滅していました。しかし、状況は変化しつつありました。札幌テレビ放送の『どさんこワイド』が成功を収め、夕方の情報番組枠の重要性が改めて認識されたのです。SDTは、まずは報道番組から再出発し、視聴率や社内体制の安定を見極めてから、本格的な夕方ワイド番組を立ち上げるという段階的な戦略を取ったと考えられます。『News Wave』はその第一歩だったと言えるでしょう。

番組構成：多様な情報を網羅

『News Wave』は、17時台と18時台で構成されていました。17時台は、全国ニュースや県内ニュースを伝える「NEWS INDEX」を皮切りに、「今日の夕刊」コーナーでは新聞各紙の夕刊情報を紹介。さらに、県内各地からの生中継や気象情報も放送され、地域密着型の情報を丁寧に届けていました。

18時台は、それまでの基幹ニュース番組『ニュースプラス1』を『News Wave プラス1 NNN』と改題し、番組に内包する形で放送されました。これは、『News Wave』がローカルニュースの枠組みの中で全国ニュースを取り込んでいることを明確に示すものでした。全国ネットのニュースは18時30分を過ぎても放送を継続し、スポーツコーナーまで東京からの映像が流され、その後SDTスタジオに戻って県内ニュースを再放送するなど、工夫を凝らした構成になっていました。

キャスター陣と番組の顔

番組の顔として活躍したキャスター陣は、田辺稔アナウンサー、森喜久子アナウンサー、そして途中から参加した石関美穂アナウンサーです。彼らアナウンサーの落ち着いた語り口調と親しみやすいキャラクターが番組の信頼感を高めたと言えるでしょう。

制作の裏側：セットと情報収集

『News Wave』開始にあたり、SDTのJスタジオではセットが刷新されました。番組内ではスタジオ内を頻繁に移動して放送を行うことが多かったため、着席デスクは設置されていませんでした。また、「今日の夕刊」コーナーでは、ライバル局である静岡放送（JNN系列）が系列紙である静岡新聞の紙面を積極的に紹介する一方、中日新聞の紙面はほとんど紹介されなかったという興味深い点も確認できます。

映画への協力：ガメラシリーズとのコラボレーション

さらに特筆すべきは、平成ガメラ3部作の一つ、『ガメラ 大怪獣空中決戦』への特別協力です。田辺稔アナウンサーが劇中ニュースに「地元局のニュースキャスター」役で出演し、SDTのJスタジオと『News Wave』のセットが使用されました。架空ニュースを伝えるという形で、番組が映画の世界に飛び込んだのです。

まとめ：地域に根ざしたニュース番組の成功例

『News Wave』は、単なるニュース番組にとどまらず、地域に根ざした情報発信を積極的に行い、視聴者からの高い支持を獲得した番組でした。ローカルニュースの復活、番組構成の工夫、キャスター陣の活躍、そして映画とのコラボレーションなど、様々な側面から分析することで、『News Wave』が地域社会に与えた影響の大きさを改めて認識することができます。この番組は、ローカルニュース番組の成功例として、現在においても研究に値する存在と言えるでしょう。

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