Newsstand

Newsstandは、Appleが提供していたiOS端末向けのアプリケーションで、新聞や雑誌の電子版をダウンロードして閲覧するために利用されていました。iPad、iPhone、iPod touchなどのデバイスで利用可能で、ユーザーはまるで本棚のようなインターフェースでこれらの電子書籍を管理することができました。

機能

Newsstandのインターフェースは、iBooksと同様に、ホーム画面から直接アクセスできる本棚スタイルを採用していました。ダウンロードした新聞や雑誌は仮想的な本棚に表示され、あたかも実際の書店のように利用することができました。アプリのアイコンは、最新号の表紙に更新され、新着通知のインジケーターも表示されるため、最新情報を見逃すことがありませんでした。

右上の「Store」ボタンを押すと、App StoreのNewsstandカテゴリに直接アクセスできました。ここでは、無料で新聞や雑誌をダウンロードできるだけでなく、アプリ内で購読契約を結ぶことや、iTunesアカウントを使用して定期購読を購入することができました。これにより、最新号がバックグラウンドで自動的にダウンロードされ、ユーザーに届けられる仕組みとなっていました。

多くの大手新聞や雑誌が、モバイルデバイスやタブレットに特化した電子版を発行しており、印刷版では実現できないインタラクティブコンテンツも掲載されることがありました。これにより、ユーザーはより豊かな読書体験を享受することができました。

また、既存のiOSアプリとして提供されていた新聞や雑誌のブランドは、Newsstandアプリケーション内に任意で移動することができました。これにより、ブランドはNewsstandの機能を活用し、アプリをより使いやすくすることができました。例えば、ニューヨーク・タイムズは、以前は外部のiOSアプリとして提供されていましたが、Newsstandのリリースとともに、Newsstand内のコンテンツとなりました。

Newsstandは、iOS 5.0からiOS 8.4.1を搭載したデバイスで利用可能で、iCloudを使用して新聞や雑誌を同期したり、再ダウンロードすることができました。これにより、複数のデバイスで同じコンテンツを楽しむことが可能でした。

しかし、iOS 9では、新しいプリインストールアプリ「Apple News」が登場したため、Newsstandは削除されました。iOS 9へのアップデート前にNewsstandに入っていた雑誌などは、アップデート後に「Newsstand」というフォルダにブックマークとして保存されました。これにより、ユーザーは以前のコンテンツにアクセスできるようになりました。

iOSフォルダとの競合

AppleはNewsstandを単なるアプリケーションではなく、内部の新聞や雑誌の個々のアプリと共に、独自のiOSフォルダとして扱っていました。このため、ユーザーはNewsstandを他のフォルダに移動したり、サブフォルダ内にネストすることができませんでした。これは、iOS自体がフォルダのネストをサポートしていないことが原因でした。

Appleは、iCloudを例に、ドキュメントがどこにあるかを簡単に把握できるファイルシステムに移行する意思を示唆していましたが、当初、ユーザーはNewsstandがどこにあるのか分からず、他のフォルダに追加することもできないため、混乱が生じました。しかし、オペレーティングシステムがこれを許可しない限り、マイナーな技術的な問題を引き起こす可能性があると懸念されました。

Appleは、iOS 5.1のリリース時に、この抜け道的な方法を不可能にし、Newsstandを他のフォルダにネストできないようにしました。しかし、先述の通り、iOS 9では通常のフォルダに置き換えられたため、Newsstandはアプリケーションではなくなりました。

Newsstandは、電子書籍市場における重要な役割を果たし、ユーザーに新しい読書体験を提供しました。しかし、技術の進化とともに、その役割はApple Newsに引き継がれることになりました。

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