Ninja (ソフトウェア)

Ninjaは、その名の通り高速な動作を追求したビルドシステムです。他のビルドシステムと比較して、特に際立っている点は、高速なビルドを実現するために設計されている点と、より高レベルなビルドシステムによってビルドファイルを生成する点です。従来のビルドシステム、特にMakeの代替として開発され、大規模プロジェクトにおけるビルド時間の短縮に貢献しています。

Makeは、増分ビルドやリビルドの際に処理が遅くなるという課題がありました。例えば、Google Chromeのような巨大なプロジェクトでは、4万ものファイルを一つの実行ファイルにコンパイルする必要があり、Makeではこのプロセスに非常に時間がかかっていました。この遅延は開発者の作業効率を著しく低下させるため、Googleは高速なビルドシステムを必要としていました。そこで開発されたのがNinjaであり、Google ChromeはNinjaの主要なユーザーの一つとなっています。実際、Ninjaの誕生自体がGoogle Chromeの開発効率を向上させるためだったと言えるでしょう。現在では、Androidの開発や、LLVM（コンパイラ基盤）の開発など、様々なプロジェクトで利用されています。

Ninjaの設計思想の大きな特徴は、ビルドファイルを人間が直接記述することを想定していない点にあります。Makeのように文字列操作などの機能は意図的に排除されており、ビルドファイルは、CMakeやMesonのような高レベルのビルドシステムによって生成されます。これにより、ビルドファイルの記述を抽象化し、より複雑なビルドプロセスを管理できるようになります。CMakeやMesonは、Ninjaのビルドファイルを生成できる代表的なビルド管理ソフトウェアです。

Ninjaは、Makeの課題であった増分ビルドの遅延を解消し、大規模プロジェクトのビルド時間を大幅に短縮することに成功しました。これにより、開発者はビルドに費やす時間を削減し、開発作業に集中できるようになりました。高速なビルドは開発効率を向上させ、結果的にソフトウェアの品質向上にもつながります。Ninjaは、現代のソフトウェア開発において不可欠なツールの一つと言えるでしょう。


関連情報

SCons: 他のビルドシステム


外部リンク
Ninja, a small build system with a focus on speed 公式ウェブサイト
* ninja - GitHub

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