OEM

OEM（オリジナル・エクイップメント・マニュファクチャラー）について

OEMは、他社のブランド名で製品を製造する企業を指します。日本語では「相手先ブランド名製造」や「納入先商標による受託製造」と訳されることが一般的です。この用語は英語圏でも広く使われ、製造業界においては自社製品を供給する事業者を指すこともありますが、他社ブランドの製品を扱う場合にも用いられます。

OEMの概要

OEMは、家電や食品、自動車産業など、さまざまな業種で活用されています。特に流通業においては、プライベートブランド（PB）と呼ばれることが多いですが、OEMの利用目的は大きく三つに分類されます。まず、市場が新たに立ち上がる段階では、製造技術やラインを持たない企業が他社からOEM供給を受けることで、迅速に市場に投入できます。次に、市場成長期において自社生産が追いつかない場合、外部に委託して効率を上げることが可能になります。最後に、市場が衰退する過程では、自社生産から撤退し、低コストの外部製造に切り替えることで持続可能な供給を図ります。

中小企業がOEMを用いることで、営業力の弱さを補う利点がある一方で、利益率が低下したり技術流出のリスクを抱えるなどのデメリットも存在します。OEM生産を専門とする企業は、自らのブランドが市場に浸透しにくく、委託される側の需要に大きく依存することになります。

自動車業界におけるOEM

自動車産業においてOEMという用語は、一般的な意味合いとは異なり、サプライヤーと自動車メーカー間の関係を示すことがあるため注意が必要です。自社ブランドを持たない企業が委託生産に特化しているケースもあります。この分野では、OEMとして納入される部品は、製造業者によって新車に使用される部品のことを指し、日本の「純正部品」とほぼ同義です。

OEMの歴史

OEMという言葉は1950年代のIBM社に端を発し、1960年代にはコンピュータ業界で広く使用されるようになりました。この時代のOEMは、製造者間の独自性を強調したもので、高い技術価値を付加することが求められていました。例えば、業者Aから部品を入手した業者Bが、自社のニーズに合わせて独自の技術を加えた場合、この業者BにOEMの名が冠されました。

OEMの用語の多様化

時間が経過するにつれて、OEMの概念は多様化しました。1980年代には、業者Cが製造を委託し、自社ブランドで販売するケースが増え、「OEM化」や「OEM供給」という言葉が使われるようになります。また、自動車業界などでは完成車をOEMと呼ぶか否かについて議論が分かれることがあります。

ODMとの違い

OEMと関連が深い用語としてODM（オリジナルデザイン・マニュファクチャラー）があります。ODMは、自社で製品の設計から製造までを手掛ける企業を指し、通常は他社に対して商品を提供します。最近では、OEM製品を他社ブランドで再販売する「二段OEM」も見られるようになり、OEMの定義がさらに拡大しています。

他社ブランドの製造

OEMの特徴として、他社ブランド製品の製造があります。かつては競合他社のブランド製品を作ることが敬遠されていましたが、1980年代のVTR戦争がその流れを変えました。日本のメーカーは競争相手に製品を供給するようになり、その後も製造委託の流れは増加しています。さらに、システムや技術の発展に伴い、海外企業にも製造を委託するケースが増えています。

OEMについての理解は、現代の製造業における競争戦略や市場のニーズを捉える上で非常に重要です。

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