OH!! POPSTAR

チェッカーズ10枚目のシングル「OH!! POPSTAR」：バンドの過渡期を彩る一曲

1986年2月21日、チェッカーズはキャニオン・レコード（現ポニーキャニオン）より10枚目のシングル「OH!! POPSTAR」をリリースしました。本楽曲は、東宝映画『タッチ 背番号のないエース』の挿入歌として使用された、チェッカーズ唯一のアニメタイアップ作品という点で特筆に値します。さらに、フジサンケイグループ主催の「国際スポーツフェア'86」のイメージソングにも起用され、多方面で注目を集めました。

しかし、オリコンチャートでは2位という結果に終わり、「哀しくてジェラシー」から続く7作連続の首位獲得は途絶えました。TBSテレビの『ザ・ベストテン』でも4週連続2位となり、同番組でのシングル曲連続1位記録も7作でストップしました。この結果を単純に商業的な成功度だけで語ることはできません。なぜなら、「OH!! POPSTAR」リリースの前後約1年は、バンドメンバーにとって、それぞれが葛藤を抱える過渡期だったと、後にメンバー自身も語っているからです。

レコーディング過程においても、予想外の出来事が発生しました。サックス奏者である藤井尚之が、レコーディング直前に酔って腕を骨折。そのため、サックスパートは演奏できず、ギター伴奏に回り、武内享と共にギターを担当しました。カップリング曲「おまえが嫌いだ」では、従来通りサックスを演奏しています。

興味深いのは、「OH!! POPSTAR」が同時期にリリースされたアルバム『FLOWER』に収録されなかった点です。テレビ出演では『FLOWER』のジャケット衣装で歌唱していましたが、楽曲のヒット期間中に藤井フミヤが髪を短く切ったことで、その衣装での歌唱は終了しました。「OH!! POPSTAR」はライブで演奏される機会も少なく、1986年のツアーのみで披露されました。一方、カップリング曲の「おまえが嫌いだ」はライブで頻繁に演奏されており、藤井フミヤの2003年のライブでも本編ラストで演奏された記録があります。

「OH!! POPSTAR」の歌詞にも注目すべき点があります。カップリング曲「おまえが嫌いだ」の歌詞には、当初「F**king baby」という表現が含まれていましたが、問題があると判断され、「Shaking baby」に変更されました。しかし、ライブでは元の歌詞で歌われていたと伝えられています。また、アルバム『FLOWER』に収録されている「君はRock-A-Ballade」が、シングル候補だったという説も存在します。

「OH!! POPSTAR」は、商業的な成功という点だけでなく、チェッカーズのバンドとしての内面的な変化や、制作過程におけるハプニング、そしてライブパフォーマンスにおける違いなど、様々な側面から考察できる興味深い一曲です。このシングルは、単なるヒット曲という枠を超え、バンドの過渡期における重要な作品であり、その後の活動にも影響を与えたと言えるでしょう。楽曲制作にまつわる様々なエピソードは、音楽史における興味深い事例として、これからも語り継がれていくことでしょう。

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