OV-1 (航空機)

OV-1 偵察機

OV-1は、アメリカ合衆国のグラマン社が製造した偵察機で、その愛称「モホーク」はネイティブアメリカンの部族に由来しています。この機体は1960年代初頭に開発され、航空機による観測、偵察、軽攻撃の機能を一手に備えた高性能機として設計されました。陸軍と海兵隊からの発注に基づいて製造が進められ、初飛行は1959年4月14日に行われました。

開発の経緯

OV-1の開発は、当初陸軍（AO-1）と海兵隊（OF-1）が共同で進める予定でしたが、早期に海兵隊がプロジェクトから外れ、陸軍単独での開発に移行しました。生産は1960年10月に開始され、アメリカ国内はもちろん、ヨーロッパ、中南米、アジアなど多くの地域で運用されることとなりました。1962年には呼称の統一がなされ、OV-1として正式に命名されました。

運用実績と戦場での役割

OV-1は特にベトナム戦争において、その能力を試されました。当初はCOIN（対反乱）機として運用され、高い成績を収めましたが、政治的な理由から空軍側が職域の侵害を訴えたこともあり、実用化には至りませんでした。OV-1B型は、そのSTOL（短距離離着陸）性能や搭載量を活かし側面観測を可能とするSLAR（側方監視レーダー）を装備して開発されました。

ベトナム戦争中にはOV-10ブロンコとの共同開発計画が存在しましたが、OV-1の評価が高かったために計画は中止されました。OV-1Bは敵の上空を飛ばずに情報収集ができるため、戦後はドイツや韓国など、旧ソ連圏と接する国へ派遣されました。国境越えをしない形での情報収集任務にOVA-1Bやその改良型OV-1Dが利用されました。また、電子偵察機仕様のEV-1Cも開発され、一部は西ドイツや韓国の空に舞いました。

湾岸戦争においても、引退間近の機体ながらOV-1は少数運用されました。ほとんどはアメリカ陸軍で使用されていましたが、イスラエルの空軍にも若干の機体が供与され、国境線付近での軍事情報収集にも用いられていたと言われていますが、その詳細は確認が難しい部分も残っています。アルゼンチンへも退役機が移転され、運用が行われていましたが、2015年にはすべて退役しています。

基本スペック

• - 全長: 12.50 m
• - 全幅: 14.63 m
• - 全高: 3.86 m
• - 翼面積: 33.44 m²
• - 全備重量: 8,000 kg
• - エンジン: ライカミングT53-L-7ターボプロップ（1400 hp×2）
• - 最大速度: 496 km/h
• - 実用上限高度: 9,150 m
• - 航続距離: 1,500 km
• - 武装: 固定武装なし、主翼下に小型爆弾等搭載可
• - 乗員: 2名

使用国

• - アメリカ合衆国：アメリカ陸軍
• - イスラエル：イスラエル空軍
• - アルゼンチン：アルゼンチン陸軍
• - 韓国：大韓民国空軍

OV-1は偵察機としての重要な役割を果たし、様々な紛争地域でその能力を発揮しました。これにより、冷戦時代の情報戦における指導的役割を担うこととなったのです。

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