OmniWeb

OmniWebは、The Omni GroupがmacOS向けに開発しているウェブブラウザです。その歴史は古く、NeXTSTEP用のブラウザとして1995年に初めてリリースされました。当時は、ライトハウスデザインという会社から販売されていましたが、その後、The Omni Group自身が開発・販売を引き継ぎました。

歴史

OmniWebの歴史は、NeXTSTEPというオペレーティングシステムから始まりました。NeXTSTEPがOPENSTEP、そしてmacOSへと進化していく過程で、OmniWebもこれらのプラットフォームに対応してきました。初期には、Mac OS X Server v1.xに標準のウェブブラウザとしてバンドルされていたこともあります。また、一時的にはWindows上で動作していた時期もありましたが、現在はmacOSに特化したブラウザとして開発されています。

OmniWebは、macOSの機能を最大限に活用するために、Cocoaフレームワークで開発されています。これにより、Quartzによる美しい画像表示や滑らかなテキスト描画、ドロワーやシートといったmacOS特有のUI要素を活用したカスタマイズ可能なツールバーなどを実現しています。

初期のOmniWebは独自のHTMLレンダリングエンジンを使用していましたが、そのエンジンは最新のWeb標準（特にCSS）との互換性に課題がありました。そこで、2003年2月、AppleがSafariのために開発したAppleWebCore（後のWebKit）レンダリングエンジンを採用しました。これにより、最新のWeb標準への対応が大幅に向上しました。

2004年8月には、多くの新機能が追加されたバージョン5.0がリリースされました。特に注目すべきは、特徴的なタブブラウジング機能です。タブはウィンドウの端にあるドロワーに垂直に表示され、サムネイル表示も可能です。このタブ表示は賛否両論ありましたが、現在もOmniWebの特徴の一つとして残っています。

2006年9月にはバージョン5.5がリリースされ、WebKitのカスタマイズ、ユニバーサルバイナリへの対応、Webアーカイブ形式での保存、ユーザースタイルシートへの対応などが行われました。

2009年2月にはバージョン5.9が発表され、同時にOmniWebは無料で利用できるようになりました。その後も開発は続けられ、2012年7月にはOS X Mountain LionのGatekeeperに対応したバージョン5.11.2がリリースされました。

2017年6月時点では、macOS High Sierra向けのバージョン6.0が開発中であると発表されていました。2024年3月現在では、最新のmacOSに対応したテストビルドが公式サイトで公開されています。

OmniWebは、その長い歴史の中で、独自の進化を遂げてきたウェブブラウザです。初期のプロプライエタリなレンダリングエンジンからWebKitへの移行、特徴的なタブブラウジング機能など、その変遷はウェブブラウザの進化の歴史を映し出す鏡とも言えるでしょう。現在では無料で利用できるため、macOSユーザーにとっては一度試してみる価値のあるブラウザです。

主な特徴

macOSのUI要素を最大限に活用したインターフェース
カスタマイズ可能なツールバー
独自のタブブラウジング機能（垂直ドロワー表示）
WebKitレンダリングエンジンによるWeb標準への対応
Webアーカイブ形式での保存
ユーザースタイルシートへの対応
* 無料での利用

もう一度検索