OneSpace Designer

OneSpace Designer（ワンスペース デザイナー）

OneSpace Designerは、ドイツのCoCreate Software GmbHが開発した機械設計・製造業向けのCADソフトウェアです。3次元CADの「Modeling」と2次元CADの「Drafting」を統合した製品であり、日本ではPTCジャパン株式会社コクリエイト事業本部が販売・サポートを行っています。

歴史

OneSpace Designerは、元々ヒューレット・パッカード社のMechanical Design Divisionが開発したもので、3次元CADは1992年に「SolidDesinger」としてリリースされました。2007年12月には、Pro/ENGINEER（現PTC Creo）で知られる米PTCに買収され、OneSpaceはPTCの機械設計CADラインナップに加わりました。買収に伴い、製品の総称はOneSpaceからCoCreateに変更され、3次元CADはCoCreate Modeling、2次元CADはCoCreate Draftingという名称になりました。

OneSpace Designer Modeling

OneSpace Designer Modelingは、従来の3次元CADの多くが採用するヒストリーやフィーチャーによる間接的な形状操作ではなく、「ダイナミックモデリング」と呼ばれる直接的な操作を特徴としています。これは、ソリッドモデリングの基本であるブール演算（立体の足し引き）をベースにしており、設計者が「削ったり、捻ったり」といった加工に近い感覚で、粘土を扱うように直感的にモデリングできることが魅力です。

初期のCADでは、複雑な形状の計算に時間がかかり、ソリッドデータの破綻も発生しやすいという問題がありましたが、OneSpaceはフィーチャーベースに依存せず、伝統的な手法をソフトウエアとして高精度に実現することで、この問題を解決しました。このモデリング手法は、後発のフィーチャーベースCADが「直感的」「ダイナミック」といった名称で形状変更機能を追加するほど、その有効性が認められています。

カスタマイズにはKyoto Common LispをベースとしたLisp言語を使用します。この言語は、日本ではプログラマーが少ないため、サードパーティ製のプラグインの専門モジュールが少ないという課題もあります。しかし、開発期間が短いなど、緊急性の高いモデリングを必要とする企業に評価されています。

2007年のPTCによる買収後、モデリング手法の名称は「ダイナミックモデリング」から「エクスプリシット モデリング」に変更されました。

OneSpace Designer Drafting

OneSpace Designer Draftingは、1985年に「ME10（Mechanical Engineering series 10）」としてリリースされた2次元CADソフトウェアです。下書き線機能やマクロ・メニューカスタマイズ機能など、当時の2次元CADに対する不満を解消する斬新な機能が搭載されていました。カスタマイズには、ME10マクロと呼ばれる独自のインタプリタ言語を使用し、コンパイルやリンケージなしで、ユーザーが自社用の機能を追加できます。

ハードウェアベンダーが開発したアプリケーションソフトであったため、UNIXからの脱却の遅れ、大手企業向けの価格設定、ハードウェア然とした保守契約などが原因で、PC/Windows系CADのシェア拡大には追従できませんでした。しかし、利用者の評価は高く、特に機械設計に適した機能に愛着を持つ設計者は多く、「下書き線と清書」機能、「コ・パイロット」と呼ばれる作図アシスト機能、レイヤーではなく「パーツ」に近い階層構造の図形管理などが評価されています。手書きに近い手順で図面を作成できる点が、多くの設計者に支持されています。

稼働OS

OneSpace Designerは、当初はHP-UXなどのUNIX環境で動作していましたが、バージョン2005以降はMicrosoft Windowsのみでの動作となっています。Windows 2000、Windows XP、Windows XP x64 Editionに対応しています。

まとめ

OneSpace Designerは、その独自のモデリング手法と、機械設計に特化した機能で、多くの設計者に支持されてきたCADソフトウェアです。伝統的な手法を昇華させ、直感的で効率的な設計を可能にする点が、その大きな魅力と言えるでしょう。


コクリエイト・ソフトウェア株式会社

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