Oracle Linux

Oracle Linuxとは

Oracle Linuxは、オラクルが提供するLinuxディストリビューションで、Red Hat Enterprise Linux (RHEL) をベースにしています。RHELとの互換性を追求しつつ、オラクル独自の機能や最適化が施されている点が特徴です。CentOSと同様に、RHELから商標やロゴを差し替えて再構築されており、RHELとの互換環境を求めるユーザーにとって魅力的な選択肢となっています。

主な特徴

RHELとの互換性: RHELとのバイナリ互換性を目指しており、RHEL向けに開発されたアプリケーションをOracle Linuxでも動作させることが可能です。
Unbreakable Enterprise Kernel (UEK): オラクルが独自に開発したカーネルで、RHELのカーネルをベースにしつつ、OLTP、InfiniBand、SSDディスクアクセス、NUMA最適化など、様々な点でパフォーマンス向上が図られています。最新のLinuxカーネルをベースにしており、最新のハードウェアや技術への対応も迅速です。
有償サポートと無償利用: Oracle Unbreakable Linuxサポートプログラムを通じて、手頃な価格で有償サポートが提供されています。また、サポートを必要としない場合は、ユーザー登録のみで無償利用も可能です。
Oracle製品との親和性: Oracle DatabaseやWeblogic Serverなど、オラクルのミドルウェア製品との親和性が高く、これらの製品の最適な運用環境として利用されることが多いです。
サーバー用途に特化: デスクトップ環境は標準ではインストールされず、サーバー用途に特化しています。デスクトップ環境が必要な場合は、別途パッケージをインストールする必要があります。

RHELとの関係

Oracle Linuxは、RHELのクローンディストリビューションとして位置づけられます。RHELとの互換性を維持しつつ、オラクル独自の技術やサポート体制によって差別化を図っています。RHELの有償サポートが必要だが、費用を抑えたいユーザーにとって、Oracle Linuxは有力な選択肢となりえます。また、CentOSのように無償でRHEL互換の環境を利用したいという需要にも、無償版を提供することで応えています。

カーネルの選択

Oracle Linuxは、以下の2つのカーネルを提供しています。

1. Red Hat Compatible Kernel (RHCK): RHELで配布されているものと同一のカーネルです。RHELとの完全な互換性を重視する場合に選択します。
2. Unbreakable Enterprise Kernel (UEK): オラクルが独自に開発したカーネルで、最新のLinuxカーネルをベースに、オラクル製品のパフォーマンスを最適化するための様々な改良が加えられています。最新のハードウェアへの対応や、高度な機能を利用したい場合に選択します。

バージョン履歴

Oracle Linuxは、RHELのバージョンに追従するように、以下のようなバージョンがリリースされています。

Oracle Linux 8系 (8, 8.1, 8.2, 8.3, 8.4, 8.5, 8.6, 8.7, 8.8, 8.9)
Oracle Linux 7系 (7, 7.1, 7.2, 7.3, 7.4, 7.5, 7.6, 7.7, 7.8, 7.9)
Oracle Linux 6系 (6, 6.1, 6.2, 6.3, 6.4, 6.5, 6.6, 6.7, 6.8, 6.9)
Oracle Enterprise Linux 5系 (5, 5.1, 5.2, 5.3, 5.4, 5.5, 5.6, 5.7, 5.8, 5.9, 5.10, 5.11)
Oracle Unbreakable Linux 4系 (4.5, 4.6, 4.7, 4.8, 4.9)

レッドハットの反応

Oracle Linuxの登場は、RHELのシェアを脅かす可能性があるため、レッドハットはOracle Linuxとの互換性に関する問題点を指摘し、RHELへの移行を推奨する声明を発表しました。しかし、Oracle LinuxはRHELとの互換性を重視しており、多くのユーザーにとって、RHELの代替として十分に機能しています。

まとめ

Oracle Linuxは、RHELとの互換性を維持しつつ、オラクル独自の機能やサポート体制によって差別化を図ったLinuxディストリビューションです。Oracle製品との親和性が高く、サーバー用途で利用されることが多いですが、無償で利用することも可能です。RHELの代替として、またはOracle製品の最適な運用環境として、検討に値するディストリビューションと言えるでしょう。

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