P-29 (航空機)

ボーイング P-29について

P-29はアメリカのボーイング社が開発した試作戦闘機で、アメリカ陸軍の委託により作成されました。P-26という成功した戦闘機をもとにした改良型として位置付けられるものの、性能の向上は限定的で、最終的には制式採用には至りませんでした。

設計と開発

ボーイング社内での呼称はモデル264であり、P-29の試作はアメリカ陸軍からの依頼に基づき、自費で進められました。陸軍から付与された試作番号はXP-940です。モデル264は基本的にP-26の発展型ですが、いくつかの重要な違いがありました。その中には、完全な片持ち翼を採用し、フラップ、密閉式風防、引き込み式主脚を装備していることが挙げられます。

1934年1月20日に初飛行を果たし、続く試験において最高354 km/h（220 mph）の速度を達成しましたが、狭くデザインされた風防がパイロットの視界を妨げたため、3月には標準的なオープン式コックピットに戻し、長めのヘッドレストを追加しました。エンジンもプラット&ホイットニーのR-1340-35に変更され、その後のテストでは様々な改良が施されました。

YP-29とYP-29B

1934年6月、テストの結果を受けて陸軍はXP-940の試験を継続し、更に新しい2機の試作機を発注しました。これがYP-29とYP-29Bです。YP-29（シリアル34-23）は風防を大型のものに交換し、尾輪を収納式に改良しています。これにより、飛行試験中に402 km/h（250 mph）の速度や高い上昇限度を記録しました。

YP-29B（シリアル34-25）は主にYP-29Aに類似した設計で、フラップや尾輪の収納機構が改良されています。これらの試作機はそれぞれのテストによって「Y」が外され、正式にP-29A、P-29、P-29Bと呼称変更されました。

これらの機体はP-26よりは高速であったものの、重量が増加したことで上昇力や運動性が低下し、最終的にアメリカ軍は量産発注をキャンセルしました。その後、3機は実験目的で使用されることになりました。

性能諸元

YP-29A

• - 乗員：1名
• - 全長：7.65m（25 ft 1 in）
• - 全幅：8.97m（29 ft 5 in）
• - 全高：2.34m（7 ft 8 in）
• - 空虚重量：1,135kg（2,502 lb）
• - 最大重量：1,483kg（3,270 lb）
• - 発動機：プラット&ホイットニー R-1340-35「ワスプ」空冷星型575 hp 1基
• - 速力：389 km/h（242 mph）/ 高度2,290m（7,500 ft）
• - 上昇限度：7,376m（24,200 ft）
• - 武装：7.62mm機銃2丁または12.7mm機銃・7.62mm機銃各1丁

結論

P-29はその時代の航空機として画期的な設計が施されたものの、採用には至らず、試作機としての役割を全うしました。戦闘機としての性能向上が限られていたため、この機体は今後の戦闘機開発に対する教訓とされたのです。

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