P-43 (航空機)

P-43 ランサー：アメリカの戦闘機

P-43 ランサー（Republic P-43 Lancer）は、アメリカのリパブリック社が開発した戦闘機であり、特に中華民国空軍によって運用されました。この機体は、アメリカ陸軍航空隊の要求にもとづいて設計されたものですが、様々な理由からその使用方法が変わりました。

概要

リパブリック社は、アメリカ陸軍航空隊が求める戦闘機の仕様に基づいてP-43を開発しました。最初の審査では不採用となりましたが、その後に数機が発注されました。結果として、P-43は戦闘機としてよりも偵察機としての役割が重要視されました。

生産されたP-43の約半数は、中華民国に提供され、ここで日本軍との戦闘に投入されたことは特筆に値します。また、P-43の設計は後にP-47 サンダーボルトの基本形となったため、航空機開発のストーリーにおいて重要な位置を占めます。

開発の過程

P-43の前身となったAP-4は、P-35の進化形でした。この機体はサイズが大きくなり、内側に収束する主脚を備え、高高度での性能を重視した設計に仕上げられました。1939年5月、陸軍による審査を受けますが、その他の機体が選ばれ、P-40が採用されました。

しかし、陸軍はAP-4の特性に興味を持ち、試作機としてYP-43の13機を発注。これらの機体は、P&W R-1830-35エンジンを搭載し、高速性能を持ちました。初飛行においては最高速度565 km/hに達し、陸軍は続く量産型P-43を54機発注しました。その後、実戦における教訓から性能不足が明らかとなり、後続機の開発が急務となりました。

生産と運用

P-43は初期生産型が54機完成し、続いてP-43Aが80機生産されました。P-43AのエンジンはP&W R-1830-49に換装されており、武装も強化されました。初期の運用では戦闘機として不具合が多かったため、ほとんどすべての機体が偵察用として運用される結果となりました。

1941年には、中華民国向けに特別仕様のP-43A-1が125機発注されました。この型には防弾装備や燃料タンクの保護特性が追加され、日本軍との交戦にも使用されました。同型の機体の一部は、アメリカ陸軍でも偵察機として用いられました。

各型の詳細

P-43のバリエーションとしては、以下があります：

• - YP-43：試作型として13機製造。
• - P-43：初期生産型、54機が製造される。
• - P-43A：エンジンを換装し主翼武装も強化された型。80機が製造。
• - P-43A-1：中華民国型として改良が加えられた型、125機が製造。
• - P-43B：写真偵察型、一部改造によって製造。

諸元

P-43A-1の具体的な仕様は以下です。

• - 全長：8.69 m
• - 全幅：10.97 m
• - 全高：4.27 m
• - 翼面積：20.72 m²
• - 全備重量：3,850 kg
• - エンジン：P&W R-1830-57
• - 最大速度：573 km/h
• - 実用上昇限度：10,973 m
• - 武装：12.7 mm機関銃 x4、爆弾200 lb

リパブリック社のP-43は、その開発と運用の過程において、アメリカ航空機産業の重要な一翼を担い、ともに戦い、経験を積んだ機体の一つであったと言えるでしょう。

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