P-500 (ミサイル)

P-500「バザーリト」およびP-1000「ヴルカーン」

P-500「バザーリト」は、ソビエト連邦によって1960年代に開発された対艦ミサイルであり、その後の進化系であるP-1000「ヴルカーン」についても多くの重要な要素を持ちます。これらのミサイルは海軍の戦力強化において重要な役割を果たしてきましたので、その詳細について述べていきます。

P-500の開発と特徴

P-500は1963年2月に第52設計局によって、先代のP-6/35「プログレス」の後継機としての開発がスタートしました。1969年には白海沿岸のネノクサ実験所で発射試験が始まり、1975年までに数十回の試験を経て海軍への納入が始まりました。

このミサイルの基本設計はP-6を受け継ぎつつ、飛行速度、射程、弾頭の威力が向上しました。特に低空飛行能力が強化され、ミサイルは通例8発で構成される「狼群」を形成します。発射時にはリーダー弾が選ばれ、高度5,000メートル以下で索敵後、他のミサイルに目標情報を送信します。リーダー弾が撃墜された場合、他のミサイルがその役割を引き継ぎます。このシステムにより、特に空母艦隊への攻撃時には、核弾頭を搭載したミサイルが主目標に向かい、護衛艦には他のミサイルが指向されます。

Eコムの情報処理装置や攻撃指揮装置が艦上で活用され、攻撃計画の策定や誘導情報の統合に寄与しました。また、C4ISRシステムである「ウスペク」により、Tu-95RTs偵察機や地上レーダーが情報を収集し、高度な状況認識を可能にしました。初めての搭載には675型潜水艦があり、1976年から1984年にかけて改装されていきましたが、その際には潜水艦は浮上した状態で発射しなければならなかったため、戦術的にはあまり価値がありませんでした。その後、1143型重航空巡洋艦や1164型ミサイル巡洋艦でも運用されるようになりました。

P-1000の進化

P-500の性能向上を目指し、1979年5月からP-1000「ヴルカーン」の開発が始まりました。このバージョンでは主に射程の延長に焦点を当てられました。チタン合金の使用による軽量化や、発射ブースターの出力向上が図られ、最大射程が1,000kmにまで延ばされました。

しかし、既存の発射機では新たな強化型ブースターの出力に耐えきれないという問題があったため、最初はP-500のブースターを使用したP-1000漸進型（射程700km）が配備され、その後、発射機の強化を進め正規のP-1000に移行していくことになりました。

P-500とP-1000は外見でも区別可能で、P-500は弾体中央に左右分割型の空気取り入れ口を持つのに対し、P-1000は一体型の筋道を持つショックコーンを配備しています。1983年から地上発射試験が行われ、1987年に正式に海軍に配備されました。いくつかの675MK型潜水艦がこのミサイルに対応できるよう改修され、その後も水上艦に搭載が進められました。

搭載艦艇

P-500およびP-1000は、次の艦艇に搭載されました。

• - 675MK/MKV/K/MU型潜水艦（エコー2型）
• - 1143型重航空巡洋艦（キエフ級）
• - 1164型ミサイル巡洋艦（スラヴァ級）

これらのミサイルの発展は、ソビエト連邦海軍において非常に重要な役割を果たしました。これからの技術進化も期待されつつ、これらのミサイルの性能向上を図る努力は続いています。

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