P40 (戦車)

イタリアの重戦車 P40（Carro Armato P40）

イタリア王国で第二次世界大戦中に設計された重戦車、P40（カルロ・アルマート P40）は、1940年に開発が始まりました。その正式名称は、「カルロ・アルマート P40」です。この名前は、「装甲車輌＝戦車」を意味するカルロ・アルマートと、イタリア語で「重」を意味する「Pesante」、車重の指標である「26」、そして制式年である「40」を組み合わせたものです。一方で、P26/40と呼ばれることもあり、これはプロジェクトの当初の計画に由来しています。

開発の背景

イタリアは1940年6月に第二次世界大戦に参戦し、その際にはすでに3つの機甲師団を有していました。しかし、当時のイタリア陸軍の戦車は、多くが軽量なL3快速戦車で構成され、実際の戦場での有効性は示されていませんでした。M11/39中戦車や続くM13/40|M13_40中戦車も、性能的に他国の戦車には到底及ばず、重戦車の開発が急務とされていました。ムッソリーニは、当時の遅れた車両設計を鑑み、優れた重戦車の開発を命じました。

最初の設計案では、キャビンに複数の砲塔を備えた20から25トン級の戦車が想定されていましたが、これは時代遅れとされ、却下されました。翌1941年にはM13/40|M13_40をスケールアップした設計案の製作が始まり、1942年に入るまでには、試作車の製造も行われるようになりました。

車両の特性

P40は当初、75mm砲を装備し、25トンの重さになることを目指していました。エンジンに関しては、初めはガソリンエンジンを計画していましたが、イタリアの技術的な課題から、生産型には最終的にディーゼルエンジンが搭載されました。このディーゼルエンジンは、最大出力が約330馬力であり、実戦での性能向上が期待されました。主兵装には、当初M35 75/18砲、続いてM37 75/32砲が使用されました。

装甲はMシリーズ系よりも強化されましたが、縫い目のある構造が続いており、同時期の他国の戦車で採用されていた溶接構造とは異なりました。加えて、傾斜装甲の採用により、操縦士たちはT-34との対抗を意識した配置を採用しています。

生産と戦歴

しかしP40の生産は、イタリアが連合国と停戦に入る前に少数しか製造されず、最終的に100両程度が生産されたのみでした。ドイツ軍によって接収されたP40は、実戦に投入されることになり、特にアンツィオの戦いで確認されています。

戦後、P40の存在は忘れられつつありましたが、現在はローマの博物館に1両、そしてレッチェ近くにもう1両が現存しています。これらの車両は当時の戦争を物語る貴重な証拠となっています。

派生型と計画

P40の派生版として、出力420馬力のガソリンエンジンを搭載した「P43」や、設計の基礎としてP40を使った自走砲「セモヴェンテ da 149/40」が計画されましたが、実際に生産されたのは限られていました。最終的にはアメリカ軍の手に渡ることとなり、その実用性を確認されることになりました。

結論

P40はイタリアの戦車設計の集大成とも言うべき存在であり、歴史の中で重要な役割を果たしました。実戦に投入された数少ないイタリア製重戦車として、P40の設計思想や性能は今も語り継がれています。

もう一度検索