PAN AM/パンナム

1960年代の空と人々を描いたドラマ『PAN AM/パンナム』

『PAN AM/パンナム』は、アメリカ合衆国で2011年9月25日から2012年2月19日まで放送されたテレビドラマです。ソニー・ピクチャーズ テレビジョンが制作し、ABC系列で全14話が放送されました。

舞台は1963年。パンアメリカン航空を舞台に、国際線の客室乗務員やパイロットたちの仕事と私生活がリアルに描かれています。タイトルロゴは、パンナムが実際に使用していたものをそのまま採用。当時の雰囲気を忠実に再現しています。

ニューヨークを拠点に世界各地を飛び回る彼らの人生は、華麗で魅力的ですが、同時に様々な困難や葛藤も抱えています。ケネディ大統領が登場するエピソードや、ビートルズと同じ町を訪れるエピソードなど、歴史的背景も巧みに織り込まれています。

細部へのこだわり

製作にあたっては、現在のパンナムブランドを保有するパンナム・システムズから許諾を得ています。原案者でプロデューサーでもあるナンシー・ハルト・ガニスは、元パンナムのスチュワーデス。そのため、劇中での制服は、パンナム社のオリジナル制服を忠実に再現するために、コルセットやガードルに至るまで、綿密な計測と撮影が行われています。

パイロット版（第1話）には、衣装やセットなどの細部を再現するために、推定約1000万ドルという巨額の製作費が投じられました。特撮も多用されており、当時の技術力の高さを伺い知ることができます。

史実とフィクションの融合

ドラマは1960年代の時代背景を反映しつつも、史実とは異なる部分も含まれています。喫煙や人種問題、国籍問題、政治活動に関する描写など、現代的な視点を取り入れた演出がなされています。

魅力的な登場人物たち

個性豊かな登場人物たちが、それぞれの夢や葛藤を抱えながら、複雑に絡み合っていきます。

マギー・ライアン: 国際便のパーサー。自己主張が強く、トラブルメーカー的な一面も。
ローラ・キャメロン: 新人スチュワーデス。多言語を操り、自由奔放な性格。
ケイト・キャメロン: ローラの姉でベテランのスチュワーデス。実はCIAのスパイという秘密を抱えている。
コレット・ヴァロワ: フランス出身のスチュワーデス。ナチス占領下のフランスで両親を亡くした過去を持つ。
ディーン・ローリー: 国際便の主操縦士。元空軍パイロットで、若くしてその地位に上り詰めた。
テッド・ヴァンダーウェイ: 国際便の副操縦士。元海軍のテストパイロットで、宇宙飛行士を目指していた。
ブリジット・ピアース: 元パンナムのパーサーで、MI6のスパイ。
その他: CIAやMI6のエージェント、ユーゴスラビアの国連代表など、様々な人物が登場し物語を彩ります。

放送と反響

アメリカでは、第1話で1100万人以上の視聴者を獲得するなど好調なスタートを切りましたが、その後は視聴率が減少。最終的には1シーズンで打ち切りとなりました。しかし、日本を含む世界107か国で放送され、各国で高い評価を得ました。日本ではIMAGICA BS（現・WOWOWプラス）、5いっしょ3ちゃんねる加盟局、テレビ東京系列局などで放送されました。

サウンドトラックもリリースされ、1960年代のジャズやポップスが作品の世界観をさらに深めています。

『PAN AM/パンナム』は、1960年代の華やかな世界と、複雑な人間模様を繊細に描いた、記憶に残るドラマです。歴史的背景や社会情勢を反映したリアルな描写と、魅力的な登場人物たちの物語は、視聴者に深い感動を与えます。また、当時のファッションや音楽、そして航空業界の雰囲気なども楽しむことができます。 1シーズン限りで終わってしまったのは残念ですが、その分、凝縮された物語が魅力となっています。

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