PAPERS BED

ロックバンド、ARBが1988年6月21日にリリースした『PAPERS BED』は、彼らにとって通算11枚目となるスタジオ・アルバムです。この作品は、バンドの歴史において複数の点で重要な意味を持っています。

新たな体制での出発

本作は、ベーシストとして浅田孟がメンバーに加わった後、初めて制作されたアルバムです。新メンバーの参加は、バンドのケミストリーに新たな変化をもたらし、その後の音楽性にも影響を与えることになります。

サウンドの変化と回帰

サウンド面における最大の特長は、前2作で顕著に見られた打ち込みやシンセサイザーといったプログラミング要素の使用から一転し、再びバンドが持つ本来のパワフルで生々しいサウンドへと軸足を戻した点です。生演奏ならではのダイナミズムや各楽器間の有機的な相互作用が強調され、骨太でグルーヴ感のあるロックサウンドがアルバム全体を貫いています。このバンドサウンドへの回帰は、新たなメンバーを迎えた体制での表現力を最大限に引き出す試みであったと言えるでしょう。

収録楽曲

『PAPERS BED』には、バンドの新たな息吹を感じさせる楽曲が多数収められています。CD盤とアナログ盤では一部収録曲に違いがあり、CD盤には「そして明日から」が追加で収録されています。

以下はCD盤の収録曲リストです。

System in System
NEWS PAPERS BED
ミステリアス・ダンス
Many Images〜A MAN IN THE WIND
FIFTY-FIFTY
HIDE AND SEEK
BLACK EYES
そして明日から（CDのみ収録）
HEROES〜英雄たち
SWEAT, HEART&BRAIN
* ラスト・コール

タイトルトラックである「NEWS PAPERS BED」をはじめ、ロックバンドとしての推進力を感じさせるナンバーから、情感豊かな楽曲まで、バラエティに富んだ楽曲群が収録されており、アルバムを通して聴きどころが多くあります。

アルバムの意義

『PAPERS BED』は、メンバーチェンジを経て新たな段階へと進んだARBが、その音楽的な方向性を示した作品と言えます。バンドサウンドへの回帰は、彼らが長年培ってきたロックバンドとしての根幹を再確認すると同時に、さらなる表現の可能性を探る上での重要な一歩となりました。このアルバムは、1980年代後半のARBの活動を知る上で欠かせない一枚であり、彼らのキャリアの中でも特にサウンド面での変化を象徴する作品として位置づけられています。ロックのエネルギーと深いメッセージが込められた本作は、今なお多くのファンに聴き継がれています。

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