PCX

PCXファイルフォーマットは、かつて広く用いられたラスターグラフィック用のファイル形式です。ゼットソフト社によって開発され、IBM PC互換機を中心に利用されました。

この形式は、画像データの表現力において様々なモードに対応していることが特徴です。モノクロ2階調、インデックスカラー、グレースケールに加え、最大24ビットのフルカラー（RGB）にも対応していました。さらに、データの圧縮方式として、非可逆圧縮ではないRLE圧縮を採用することで、画質の劣化なくファイルサイズを小さくすることが可能でした。ただし、アルファチャンネルには対応していなかったため、透明度の表現には不向きでした。

Windows OS上では、初期のバージョンからサポートされていました。Windows 3.xに標準で搭載されていたペイントブラシでは、PCXファイルの読み込みと書き出しが可能です。Windows 95のペイントでも読み込みに対応していましたが、Windows 98やWindows 2000では標準でPCXファイルのサポートが取り除かれ、扱えなくなりました。Windows 95からWindows 2000にかけて付属していたImagingアクセサリでもPCXファイルの読み込みが可能でしたが、その後はサポートされなくなりました。

PCXファイルフォーマットは、かつては広く利用されていましたが、GIF、JPEG、PNGといった、より高機能で効率的な画像ファイルフォーマットが登場して以降は、次第に使用頻度が減少していきました。これらの後発フォーマットは、PCXにはない様々な機能、例えば透明度、より高度な圧縮技術、ウェブ上での最適化などを備えており、PCXはそれらに取って代わられる形となりました。

しかし、現在でもPCXファイルに対応したソフトウェアは数多く存在しています。専用の画像編集ソフトや、他のソフトに組み込まれたプラグイン、アドオンなどを利用することで、PCX画像ファイルの閲覧や編集を行うことが可能です。古い画像データの扱いに必要となる場合など、未だにPCXフォーマットは重要な役割を担っていると言えるでしょう。これらのツールを用いれば、古いPCX形式の画像データも、現代のコンピューター環境で問題なく扱うことが可能です。

まとめると、PCXファイルフォーマットは、その歴史的意義と、現在でも利用できるソフトウェアの存在から、依然としてデジタル画像処理の歴史において重要な位置を占めていると言えるでしょう。

もう一度検索