PINK BLOOD

宇多田ヒカル「PINK BLOOD」解説

「PINK BLOOD」は、2021年6月2日に配信限定でリリースされた宇多田ヒカルの楽曲です。NHK Eテレで放送されたアニメ『不滅のあなたへ』のオープニングテーマとして起用され、大きな注目を集めました。宇多田ヒカルにとって、意外にも初のテレビアニメシリーズへの主題歌提供となりました。

制作背景

新曲「PINK BLOOD」がアニメの主題歌に決定したことは、2021年3月2日に発表されました。その後、アニメのプロモーションビデオで楽曲の一部が公開され、期待が高まりました。4月にはノンクレジットのオープニング映像が公開され、5月にはジャケット写真とリリース日が発表されるという流れで、徐々に情報が公開されていきました。

ジャケット写真は、宇多田ヒカルのアルバム『初恋』も手掛けたフォトグラファーのTAKAYが担当しました。宇多田ヒカルは、タイアップの経緯について、「不滅のあなたへ」の原作コミックを読んで面白かったため、オファーを引き受けたと語っています。

楽曲制作

「PINK BLOOD」は、実はアニメのオファーが来る約1年前に制作されていた楽曲でした。コロナ禍で制作環境が制約される中、スタッフの提案により、以前制作されていたこの楽曲がオープニングテーマとして採用されました。ただし、歌詞の一部はアニメの内容に合わせて書き直されています。

音楽性と歌詞

「PINK BLOOD」は、タイトなサウンドプロダクションと複雑なビートが特徴的なR&Bナンバーです。オルタナティブR&Bとも評されています。浮遊感のあるエレクトロサウンドやジャジーな雰囲気は、過去の楽曲との類似性も指摘されています。メロウな質感は、トレモロやパンニングといったエフェクトによって生み出されています。

宇多田ヒカルらしいコーラスパートでは、リズムを強調するような独特の譜割りとエディットが施されています。楽曲構成は、現代のポップスらしくコンパクトにまとめられており、終盤にサビが配置されています。

歌詞には、自己と他者の関係性の中で、自分自身に比重を置いて肯定していくというテーマが込められています。宇多田ヒカル自身にとっても特別な歌詞であり、新たな感覚を得たと語っています。

評価とミュージックビデオ

音楽ジャーナリストの宇野維正は、歌詞、サウンドプロダクション、構成など、すべての要素が優れていると評価しました。ピアニストの中村浩之は、ポリリズムを駆使したリズム構成を高く評価しています。作詞家のいしわたり淳治は、日本語をはめにくいメロディーに対する宇多田ヒカルの言葉の選び方を絶賛しました。英デイズド誌のライターは、ミニマルなビートとトランス感のある音楽性を評価しています。

ミュージックビデオは、楽曲の配信開始と同時に公開されました。映像ディレクターの谷川英司とフォトグラファーのTAKAYが制作に参加しています。ビデオ内で宇多田ヒカルが着用している衣装は、それぞれ異なるコンセプトに基づいて用意されており、楽曲の世界観を表現しています。

PINK BLOOD EXHIBITION

楽曲のリリースを記念して、東京・Ginza Sony Parkでエキシビションが開催されました。ミュージックビデオの視聴、フォトブース、衣装展示、写真パネル展示、撮影セット展示などが行われました。また、展覧会の内容を変更・拡大したものが、全国のソニーストアで開催されました。

「PINK BLOOD」は、宇多田ヒカルの新たな一面を示すとともに、アニメ『不滅のあなたへ』の世界観をより深く表現した楽曲として、多くのファンに愛されています。

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