PSI (オウム真理教)

PSI（完全救済イニシエーション）

PSIはオウム真理教で用いられた修行の一形態であり、特に「ヘッドギア」と呼ばれる装置を指します。この装置は、科学技術省大臣村井秀夫の発明によるもので、麻原彰晃の脳波を再現した電気信号を流し、信者の脳波と同調させるというものでした。信者たちはこの装置を通じて、麻原の意識を体験し、教団からの教えを深めようとしました。

ヘッドギアの仕組み

PSIの使用は、装置に装着された電極を通じて頭皮に電流を流すというもので、使用中にはピリピリとした感覚が感じられます。以前は電極を直接肌に貼る形でしたが、改良されたヘッドギアはより多くの信者に普及しました。信者たちはこのヘッドギアを月額10万円でレンタルしたり、100万円で購入することができました。使用中、信者は麻原の脳波を視覚化したコンピュータ画面を見ながら、自らの脳波に影響を及ぼす電流の強さを身体で感じることになっていました。

麻原もこの装置なしでは不安定になりがちなことから、頻繁に使用していたとされています。特に、逮捕される直前にもPSIを着用していたとのことです。このように、PSIは信者のアイデンティティの一部ともなっており、見るからにオウム真理教の信者であることを周囲に示していました。

使用とその影響

PSIの製品は、特に出家信者が使用する際に、電流の強さが非常に高い設定とされていました。その結果、ポジティブな効果があるという教義の元、多くの信者は恒常的にこの装置を使用し、瞑想の深化や精神的な浄化を期待しました。しかし、実際には強烈な電流が流れ、痛みや恐怖を伴うことが多く、時に意識を朦朧とさせることもありました。そのため、ヘッドギアを外すことを許されず、手錠がかけられるケースもあったのです。

一方で、「装着するだけで修行が進められる」といった便利さから、新たな信者が次々とこの装置を求めました。特に信者の一部は、精力的に使用を続けることで、身体に深刻なダメージを与える結果となりました。長時間の使用が火傷や精神的トラウマをもたらすことが明らかになると、教団内でも使用に関する懸念が高まっていました。

PSIの目的と洗脳の疑念

PSIは、単なる修行の道具や布施集めの手段として見られていましたが、実際には信者に影響を及ぼし、洗脳の一手段として機能していたともされています。苫米地英人は、麻原の脳波を信者に同調させるだけではなく、それによって信者の意識を変容させる目的があったのは明らかであると主張しています。そして、オウム真理教内部では、こうしたプログラムが洗脳の方法の一環として受け継がれていました。

このように、PSIはオウム真理教の一端を成す特異な機器であり、信者にとっては精神的な影響を与える重要な要素として位置付けられていました。教団解体後も、この装置やその使われ方は注目されています。

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