PSS (拳銃)

PSS拳銃について

PSS拳銃（ロシア語:Пистолет бесшумный ПСС «Вул」）は、1983年にソビエト連邦のKGBにより開発された特異な自動拳銃です。この銃の名称「PSS」は「特殊自動装填拳銃」の略称で、また設計者の名にちなみ「レフチェンコ・ピストル」とも呼ばれています。銃のGRAUインデックスは「6П28」であり、PSSは今日でも多くの特殊任務に使用されています。

特徴

PSSの大きな特徴は、特別なカートリッジを用いることで、銃自体ではなく弾薬に消音機能を持たせているところです。使用される弾薬は、独自の口径である7.62mm×41mm弾で、装弾数は6発です。この拳銃の内部機構は、マカロフPM拳銃に基づいて設計されており、ダブルアクション式のオートマチックメカニズムを搭載しています。

PSSが使用するSP-4弾は、薬莢内部に特殊な構造を持つもので、少量の燃焼剤と弾丸、ピストンの役目を果たす中栓が含まれています。発火時には発射薬が燃焼し、中栓が突出し、さらに弾丸が発射される仕組みです。このためPSSは近距離においてのみ殺傷能力を発揮しますが、銃口からの音を抑え、静かに発射できる特性があります。

開発の背景

PSS拳銃は冷戦時代、ソビエトのKGBの特務作戦用に開発されました。1970年代後半にはMSP拳銃やS4M消音拳銃が使用されていましたが、これらは極秘の存在であったため一般には知られていませんでした。しかし、KGBの一部要員がアメリカ中央情報局（CIA）の捜索により逮捕されたことで、S4Mの存在が暴露されました。これを受けて、新たに開発されたのがPSSです。このプロジェクトはTsNIITochMash（精密機械技術中央科学研究所）のビクトル・レフチェンコによって進められました。

1983年以降、PSSはKGBやロシア連邦軍参謀本部情報総局（GRU）の特殊部隊OSNAZに配備され、その後もロシア連邦保安庁や内務省で使用され続けています。さらに、21世紀に入ると、改良された弾薬を使用する新型のPSS-2が開発され、2011年からこちらも使用が進められています。

メディアでの登場

PSS拳銃はゲームや漫画作品においても取り上げられています。代表的な作品には『メタルギアソリッド4』や『SOCOM: U.S. Navy SEALs Portable』、さらには『STEINS;GATE 0』などがあります。また、漫画『闇狩人Δ』にもキャラクターが使用する拳銃として登場し、物語にスリルを与えています。

関連機種

PSS拳銃の他にも、PB（マカロフPMを基にした消音器一体型拳銃）やNRS（ナイフ型消音拳銃）、Ots-38（イーゴリ・ステーチキンによって開発されたSP-4弾を用いる消音式リボルバー）など、さまざまな消音機能を持つ武器が存在します。これらは特殊任務や隠密行動において重要な役割を果たしており、PSSと同様に消音性が求められています。

結論

PSS拳銃は、その独自な構造と消音機能によって特務作戦に支えられた重要な兵器となっており、現在も多くの国の特殊部隊で使用されています。隠密行動や暗殺任務にとって、PSSはなくてはならない武器の一つと言えるでしょう。

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