Petite Fleur〜Amapola

ジャズヴァイオリニスト、寺井尚子が世に送り出した通算11作目のアルバムが、『Petite Fleur〜Amapola』（小さな花〜アマポーラ）です。この作品は2008年1月30日にリリースされ、タイトルの通り、ジャズのスタンダードとして名高いシドニー・ベシェの「小さな花」と、ムーディーな雰囲気を纏う「アマポーラ」という、二つの異なる魅力を持つ楽曲名を冠しています。

アルバムは、寺井尚子自身のヴァイオリンを中心に、鉄壁のレギュラーメンバーと共に制作されました。ピアノには北島直樹、アコースティックベースに店網邦雄、ドラムスに中沢剛が名を連ね、彼らとの長年の共演で培われた息の合ったアンサンブルが、アルバム全体のサウンドを支えています。寺井尚子の繊細かつ情熱的なヴァイオリンの音色が、リズムセクションの確かなサポートを得て、聴く者を深い音楽世界へと誘います。

収録曲の編曲は、多くの楽曲（M1-6, M9-13）を寺井尚子自身が手がけており、彼女の音楽的ヴィジョンが色濃く反映されています。また、M8は北島直樹が担当し、M7では寺井尚子と北島直樹が共同で編曲を行っています。これにより、アルバムには多様なアプローチがもたらされ、一曲ごとに異なる表情を楽しむことができます。

アルバム制作は、2007年10月8日から19日にかけて東京のSound City Studioにて集中的に行われました。メインのレコーディングとミキシングは鈴木智雄（Tom Suzuki）氏が担当しました。ただし、M13については、同年12月13日にEMI Music Japan Studio 3で別途録音され、倉園明彦氏がレコーディングおよびミキシングを手がけています。アシスタントエンジニアとしては、澁澤俊介氏とKouichi Ishida氏が制作をサポートしました。完成した音源は、2007年11月10日と12月17日にSony Studioにて、鈴江真智子氏によってマスタリングされました。複数のスタジオとエンジニアを経て、アルバムのサウンドが最終的に形作られたことがわかります。

アートワークやブックレット制作にも多くの才能が集結しています。カバー写真は宅間國博氏が撮影し、藤本文昭氏が写真全体を担当しました。ヘアメークを三上宏幸氏、スタイリングを新藤伸子氏が担当し、視覚的なイメージを創り上げています。アートディレクションは多久薫氏、ブックレットの編集はTatsuo Shimizu氏が手がけました。ライナーノーツは藤本文昭氏が執筆しており、音楽だけでなくアルバムを取り巻くアートや情報も充実しています。制作総指揮としてプロデューサーを寺井尚子自身が務め、エグゼクティブ・プロデューサーとして行方均氏と永田俊作氏、マネージメントを永田俊作氏、A&Rディレクターを津下佳子氏が担当するなど、多岐にわたるスタッフによって支えられています。

CDには特典として、CD-EXTRA形式で「アマポーラ」のライブ映像（5分25秒）が収録されており、演奏の迫力を映像でも楽しむことができる点も特筆されます。このアルバムは、寺井尚子のヴァイオリニストとしての表現力と、長年活動を共にするメンバーとの強固な連携が生み出した、聴きごたえのある作品と言えるでしょう。ジャズヴァイオリンの魅力を存分に堪能できる一枚です。

[外部情報]

CDジャーナル 寺井尚子 / 小さな花～アマポーラ
小さな花〜アマポーラ - MusicBrainz
* アドリブログ 寺井尚子 - ドリームダンシング

もう一度検索