PictBridge

PictBridge（ピクトブリッジ）とは

PictBridgeは、デジタルカメラなどのイメージングデバイスとプリンターを直接接続し、印刷を可能にするための共通規格です。2002年12月にキヤノン、オリンパス、セイコーエプソン、ソニー、ヒューレット・パッカード、富士フイルムの6社が共同で提案した規格案を基に、2003年2月にカメラ映像機器工業会（CIPA）によって業界標準規格として制定されました。

背景

デジタルカメラで撮影した画像は、通常、カメラのディスプレイやパソコンで閲覧されます。しかし、撮影した写真を紙に印刷して楽しみたいというニーズも根強く存在します。従来、デジタルカメラで撮影した画像を印刷するには、まずパソコンにデータを転送する必要があり、これがユーザーにとって手間となっていました。一部の機種ではデジタルカメラとプリンターを直接接続できましたが、各メーカーが独自の方式を採用していたため、互換性がなく、利用できる機種が限定されていました。

PictBridgeの登場

このような状況を打開するために、PictBridgeが開発されました。この規格は、撮影装置と印刷装置間の通信仕様を標準化し、異なるメーカーの製品間でも、PictBridgeに対応していれば直接接続して印刷できることを目指しました。対応機器はデジタルカメラだけでなく、デジタルビデオカメラ、カメラ付き携帯電話、オシロスコープなどにも広がり、プリンターもデスクトッププリンターのほか、モバイルプリンターも対応しています。

仕様の概要

PictBridge対応製品では、主にUSBケーブルを使用して撮影機器とプリンターを接続します。USB接続の場合、PictBridgeソフトウェアがUSBのPTP（Picture Transfer Protocol）トランスポートレイヤー上にDPS（Device Printing Service）レイヤーを構築し、印刷とストレージに関するクライアントとサーバーの役割をそれぞれ担います。また、接続にはUSBの他に赤外線通信も利用可能です。

画像転送には、PTPプロトコルが用いられます。PTPは本来USBに限定されるものではありませんが、USB上での転送規格と実装が確立しているため、PictBridgeでもUSB経由での転送が一般的です。なお、イーサネット上で画像を転送するPTP/IPというプロトコルも存在し、理論上はPTP/IPを用いたPictBridge通信も可能ですが、実際に実装された機器は確認されていません。

機器接続後は、デジタルカメラ側に印刷設定画面が表示され、カメラ側で印刷操作を行います。機種によっては、割付印刷や画像一覧印刷など、多彩な設定が可能です。ただし、使用できる印刷設定は、カメラとプリンターの両方が対応している機能に限られます。

規格のバージョン

PictBridgeの規格には、以下のバージョンが存在します。

DC-001-2003 Revision 1.0
DC-001-2003 Revision 2.0

関連規格

PictBridgeに関連する規格として、以下のようなものがあります。

PTP (Picture Transfer Protocol): 画像転送のためのプロトコル
DPOF (Digital Print Order format): 印刷指示情報を記録するフォーマット

外部リンク

* PictBridge (CIPA): https://www.cipa.jp/std/documents/j/DC-001-2003_J.pdf

PictBridgeは、デジタルカメラとプリンター間の直接接続を可能にし、ユーザーがより手軽に写真を印刷できる環境を提供しました。異なるメーカーの機器間でも互換性を保ち、利便性を高めた点が大きな特徴です。

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