QU-22 (航空機)

QU-22 ペイブイーグル (QU-22 Pave Eagle)

QU-22 ペイブイーグルは、アメリカ空軍がベトナム戦争の際に使用した通信中継機です。この機体はビーチクラフトが製造したA36ボナンザを基に開発されました。当初の設計では無人での運用を想定していたため、機体には「Q」という記号が付与されていましたが、実際の運用は有人で行われました。

背景と運用

ベトナム戦争中、アメリカ軍は「イグルー・ホワイト作戦」と名付けられた一連の情報収集活動を展開しました。この作戦の主要な目的は、ホーチミン・ルートと呼ばれる重要な補給路に対する監視と情報収集でした。軍はこの地域に多数のマイクロフォンや地震計を投下し、敵の動きを察知するためのデータを集めました。

これらのセンサーは非常に小型で、入れられている電池からの低出力の電波は限られた距離までしか到達できませんでした。そこで、大型機であるEC-121（ロッキードL-1049の改造型）と合わせて、QU-22ペイブイーグルが開発されました。この機体は小型で、マイクロフォンからの信号を受信し、タイにある情報処理施設に中継するために設計されていました。

QU-22は1969年から1972年の短い期間のみ使用され、その後、イグルー・ホワイト作戦が終了するに伴い退役しました。姉妹機として軽攻撃機のAU-22も開発されましたが、こちらは正式に採用されることはありませんでした。

形式・派生型

QU-22にはいくつかの派生型が存在します。

• - YAU-22A: COIN（対反乱）機として1機試作されました。
• - YQU-22A: こちらも試作機で、6機が生産され、複座設計のため訓練にも使用されました。
• - QU-22B: 生産型として27機が製造されました。

要目（QU-22B）

• - 乗員: 1名（無人運用時は0名）
• - 全長: 8.13 m
• - 翼長: 12.02 m（翼端増槽含む）
• - 全高: 2.58 m
• - エンジン: Continental O-520型 375馬力エンジンを1基搭載
• - 最大速度: 328 km/h
• - 巡航速度: 227 km/h
• - 武装: なし
• - 航続時間: 有人運用時は6時間、無人運用時は10時間

関連項目

QU-22ペイブイーグルは無人航空機の一形態と見なされます。さらに、運用されていたT-34メンターなどの他の飛行機とも関連があります。QU-22はそのコンセプトと運用において戦争時のテクノロジーの進化を示す重要な機体の一つとされています。

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