R-38 (航空機)

R-38 練習機

R-38は、日本の立川飛行機が1938年に試作した練習機で、型式名の「R」は「練習機」を意味し、数字の「38」は1938年型を示しています。この機体の開発は、当時立川が製造していた日本陸軍向けの九五式一型および三型練習機とは異なるアプローチのもとで行われました。立川飛行機は、より進歩的な設計を目指し、民間向けの単葉練習機の開発に取り組みました。

設計は技師の遠藤良吉の主導によって進められ、参考にされたのがフェアチャイルド 22という輸入機体です。このR-38は、木と金属を組み合わせた骨組みに羽布で覆われた形状を採用し、機体全体が軽量であるため、優れた運動性能と上昇力を持った機体となりました。また、パラソル翼を採用することで、スマートで洗練された姿が印象的です。

R-38の初飛行は1939年の2月22日に行われ、航空機乗員養成所や陸軍からの審査を受けました。この機体はその性能が評価されたものの、すでにある九五式の練習機代替としての必要性はないとの判断が下され、量産には至らなかったのです。初号機の後、立川飛行機はエンジンを「神風六型」から高速度機関製の「KO-4」に変更した二号機「R-38改」を制作しました。この改良版が1941年7月に初飛行を迎えましたが、残念ながらこのタイミングで陸軍からKO-4の生産中止が要請され、R-38改も量産されることはありませんでした。結局、R-38改は1機のみの製造となり、その後、松戸中央乗員養成所での試用を経て、歴史に名を刻むこととなります。

興味深いことに、R-38は戦後初の国産航空機として注目された練習機R-52およびR-53の原型となったことでも知られています。このようにR-38は日本の航空機の歴史において重要な役割を果たす存在であり、立川飛行機の技術力と革新性を示す一例と言えるでしょう。

諸元

次にR-38の基本的な諸元を示します。詳細な数値は資料によって異なる場合がありますが、基本的な情報は以下の通りです。接地寸法や翼幅、エンジン出力などは航空機にとって非常に重要な要素です。

脚注

この記事の情報は、野沢正著『日本航空機総集 立川・陸軍航空工廠・満飛・日国篇』に基づいています。

参考文献

• - 野沢正, 『日本航空機総集 立川・陸軍航空工廠・満飛・日国篇』, 出版協同社, 1980年, pp. 64-66。

関連項目

• - 日本製航空機の一覧

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