R-60 (ミサイル)

R-60ミサイルの概要

R-60（ロシア語: Р-60）は、ソビエト連邦の第4設計局「モルニヤ」で開発された赤外線追尾方式の短距離空対空ミサイルです。このミサイルは1960年代後半にMiG-23用に設計が始まり、1973年にはR-60として制式採用されました。アメリカ合衆国の国防総省はこのミサイルにAA-8という識別番号を付与し、NATOは「エイフィド」というコードネームで呼んでいます。

歴史

R-60は、長さがわずか44kgの軽量ミサイルであり、採用当時としては世界で最も小型の空対空ミサイルの一つとされました。これは、発射装置に2連装の特別なレールを装着することで、前任のミサイルよりも多くの弾薬を搭載できるという特長を持っていました。後継のR-73ミサイルが登場した後も、R-60は多くの国で運用され続けています。

R-60は赤外線追尾システムを採用しており、シーカーヘッドは非冷却型ですが、±12°の視野角で標的を追尾する能力があります。ミサイルの制御は、前部に取り付けられた三角形の動翼や後翼のフィンを使用して行われ、エンテ型の形状から急旋回時の姿勢制御が改善されています。これにより最大8Gの負荷での旋回が可能となりました。

2017年には生産は停止しましたが、依然として多くのR-60が現役で使用されており、いくつかの改良型も存在します。ウクライナのアーセナルは、UA-96シーカーとの交換を提案しており、これにより検出能力の向上を図っています。また、ベラルーシのBSVTもR-60BMという新しいアップグレード型を発表しており、標的能力の強化がなされています。

派生型

R-60にはいくつかの派生型が存在します。最初のモデルは、NATO[[コードネーム]]「エイフィドA」の初期型で、視野角は±12°の非冷却式です。次に、シーカーを窒素冷却式にしたR-60M（エイフィドB）が登場し、視野角が±20°に拡大され、全方位交戦能力も持つようになりました。その後、R-60MK（輸出型）やR-60MU（訓練用模擬弾）も開発されました。

R-60BMは、ミサイルの妨害抵抗を強化するために新しいシーカーを導入し、最大で20kmの操作範囲を持つ新型ミサイルとして設定されています。これにより、戦闘機や防空ミサイルシステムからの発射が可能となり、より高い効果を実現しています。

採用国と搭載機

R-60は、さまざまな国々で運用されています。現在の使用国には、アルメニア、アンゴラ、ブルガリア、インド、イラン、カザフスタン、ロシアなどがあり、ウズベキスタン空軍もその一部とされています。退役機としては、チェコやフィンランドなどでの使用が確認されています。

搭載可能な航空機には、MiG-21やMiG-23、Su-15、Su-24などがあり、多くの型式で運用されています。特に後期型のMiG-21や改良型のMiG-25などがR-60を搭載するのに適しています。

結論

R-60ミサイルは、軽量で高い機動性を持つ赤外線追尾ミサイルとして、冷戦時代から現在まで多くの空の戦力に貢献してきました。今日でも多くの国で運用され、改良の余地も残されていることから、その影響は続いています。

もう一度検索