R.530 (ミサイル)

R.530は、フランスのマトラ社によって開発された短射程空対空ミサイルです。1957年から開発が始まり、フランス空軍のミラージュIIIやミラージュF1、フランス海軍のF-8E(FN)といった戦闘機に搭載されました。

当時としてはヨーロッパ初の中射程ミサイルとされており、短射程空対空ミサイルでありながら、セミアクティブ・レーダー・ホーミング（SARH）と赤外線ホーミング（IRH）という2種類の誘導方式が存在し、状況に応じて使い分けられました。セミアクティブ・レーダー・ホーミング（SARH）は、ミサイル自身はレーダー波を発信せず、母機が照射したレーダー波を捉えて目標に誘導される方式です。一方、赤外線ホーミング（IRH）は、ミサイルが目標から放射される赤外線を感知して誘導される方式です。

R.530は、フランス製戦闘機のセールスと合わせて各国に売り込まれ、4,000発以上が生産されました。その高い性能から、パキスタン、イスラエル、イラクといった国々で実戦で使用され、戦果を上げています。

しかし、1970年代末になると、R.530は旧式化し始め、性能的に上位互換となる発展型のシュペル530によって更新されました。シュペル530は、R.530の基本設計を踏襲しつつ、射程や命中精度などが向上しています。

R.530の運用国は以下の通りです。

アルゼンチン
オーストラリア
ブラジル
コロンビア
フランス
エジプト
イラク
イスラエル
ヨルダン
レバノン
モロッコ
パキスタン
南アフリカ共和国（退役済）
スペイン
* ベネズエラ

R.530は、短射程空対空ミサイルとして、その黎明期を支えた重要な存在であり、その後のミサイル開発に大きな影響を与えました。

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