RAINBOW RACE

ORIGINAL LOVE|Original_Love『RAINBOW RACE』：バンド体制の終焉と新たな音楽への探求

1995年5月19日にリリースされたORIGINAL LOVE|Original_Loveの5作目となるスタジオアルバム『RAINBOW RACE』は、ポニーキャニオン移籍後初のアルバムであり、バンド体制での最後の作品となりました。前作『風の歌を聴け』に続き、田島貴男、木原龍太郎、小松秀行、そして佐野康夫というメンバー構成で制作されました。

バンド体制の終焉

田島貴男は後年、このアルバムについて「『風の歌を聴け』は新バンドとしての勢いがあったが、セカンドアルバムになると慣れが生じた。ツアー後、メンバーはそれぞれの道を歩み始め、最終的に自分一人になった」と述べています。この言葉が示すように、『RAINBOW RACE』はバンドとしての終焉を象徴する作品となりました。

制作過程における変化

アルバム制作にあたり、田島は前作の制作期間が短かった反省から、時間をかけて曲作りに取り組むことを決意しました。しかし、前作の制作後、頭の中が真っ白になり、なかなか曲が書けない時期を経験したと言います。そんな中、最初に生まれたのが「夢を見る人」であり、アルバムの最後に収録された「Bird」も同時期に制作されました。また、カリプソ調の「夏着の女達へ」も初期に完成した曲の一つです。

田島は「『風の歌を聴け』は好評だったが、同時にプレッシャーも感じていた。しかし、途中から作りたいものを作ればいいという気持ちに変わった」と語っています。また、今作のレコーディングでは、アマチュア時代のようなシンプルなコードと良いメロディへの執念を感じたと振り返っています。

歌詞の変化

田島は、本作の歌詞について「以前は“屈折したラブソング”と言われることが多かったが、今回は日常的なテーマを扱った」と述べています。日常の中で感じていることを言葉にすることで、インディーズ時代のようなひねくれた表現から変化を遂げたことを示唆しています。

レコーディングへのこだわり

エンジニアの田中信一は、今回のレコーディングでは「生音を重視し、シンセを一切使用しなかった」と語っています。ドラム、ベース、ギター、生ピアノなどのキーボード、そしてストリングスを基本とし、田島の明確な音作りの目標に向かって、グルーヴ感を追求しました。プリプロ、曲作り、リハーサルをしっかりと行ったため、レコーディングは予定よりも早く終了しました。

バンド解散とソロ活動へ

『RAINBOW RACE』のリリース後、ツアーを経て、小松秀行、佐野康夫、木原龍太郎が脱退し、オリジナル・ラブは田島貴男のソロユニットとなりました。田島は、メンバーとの2年間の格闘技のようなライブに疲れを感じていたことを明かしています。

その他の情報

• - 「ブロンコ」と「ミッドナイト・シャッフル」は、コンサート会場限定で販売された10インチアナログ盤にリミックスバージョンが収録されています。
• - 「夢を見る人」と「流星都市」は、後にベストアルバム『変身』にも収録されました。
• - 初回盤は三方背ボックス仕様で、プラケースには黒の本体と透明トレイが使用されています。
• - ジャケット写真はノーマン・パーキンソンの“Bird Island”が使用されており、アートディレクターの信藤三雄は、この写真の土っぽい質感に惹かれたと語っています。

収録曲

1. ブロンコ
2. ダンス
3. Your Song
4. 夢を見る人
5. 流星都市
6. 夏着の女達へ
7. ホモ・エレクトス
8. ミア・マリア
9. ミッドナイト・シャッフル
10. Bird


『RAINBOW RACE』は、ORIGINAL LOVE|Original_Loveのバンド体制の終焉と、田島貴男の新たな音楽への探求が始まった重要な作品と言えるでしょう。

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