RB-341V Leer-3

RB-341V Leer-3の概要

RB-341V Leer-3（ロシア語: РБ-341В «Леер-3»）は、ロシア軍が運用する地上配備型の電子戦システムです。この装置は、ユーザー端末に対して妨害を行いながら、戦場の状況を観察し、心理戦を展開するために設計されています。

基本構成

Leer-3は、1両のKamAZ-5350運搬車と、それに添付される3機の無人航空機（UAV）「Orlan-10」で構成されています。ロシア国防省の情報によれば、このシステムは、KamAZ-5350トラックを指揮統制所として活用し、そこに接続されたUAVを用いて約6キロメートルの半径内の通信に影響を及ぼします。UAVにはジャマーが搭載されており、地上に設置した使い捨てジャマーと連携して、周辺のセルラー基地局を妨害する機能を持っています。

また、このUAVは妨害活動の後、SMSメッセージや音声メッセージの送信が可能になるため、近接するセルラー通信を完全にハイジャックすることができます。最初はGSMネットワークに対応して設計されていましたが、最近の展開では3Gや4Gネットワークでも使用されていることが明らかになっています。

システムの機能

Leer-3の主要な機能は以下の通りです：

• - セルラー通信の妨害: GSM 900およびGSM 1800携帯電話の基地局に対して妨害を行い、通信を遮断します。
• - 基地局の模倣: 正規の基地局になりすますことで、敵側に心理的な影響を与えます。
• - 虚偽の情報の送信: 精度の高い情報操作を行い、敵に誤情報を提供することができます。
• - 位置特定: GSMネットワーク内で送信される端末の位置を特定することにより、敵側の動向を把握します。
• - デバイスの検出: 携帯電話やタブレットなどの加入者デバイスを検出します。
• - 加入者ポイントの特定: 戦場における敵の位置を特定し、情報を収集します。
• - 情報の共有: 砲兵および航空部隊と位置データを共有することが可能です。
• - 状況の監視: 戦場の状況を常に監視し、部隊の配置や動きを統制します。

運用実績

Leer-3は、2015年にウクライナのドンバスにおいてウクライナ軍に対する電子戦として使用されました。また、シリアの戦闘にも投入されたことが確認されています。特に、2022年におけるロシアのウクライナ侵攻の際には、前線にいるウクライナ軍の第53旅団や第54旅団に対して、電子戦のみならず情報戦、心理戦が行われた例があります。

まとめ

RB-341V Leer-3は、現代の戦場における電子戦の重要な一翼を担っており、通信を妨害するだけでなく、戦術的な情報操作や状況把握のために巧妙に利用されています。これにより、リアルタイムでの戦場の動向を把握し、敵に対して心理的優位性を確保する戦術が展開されているのです。

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