RBE2

RBE2

RBE2（仏: Radar à Balayage Electronique 2 plans）は、フランスのタレス社が開発した戦闘機搭載用火器管制レーダーです。主にラファール戦闘機への搭載を目的としており、その特徴はアンテナ部にフェーズド・アレイ方式を採用している点にあります。

概要

RBE2は、多様な動作モードを備えています。空対空捜索、ルックダウン、シュートダウン、ルックアップといった基本的なモードに加え、捜索しながらの追尾（TWS）、ドッグファイト、地形追随回避、そして合成開口レーダー（SAR）モードなどが利用可能です。特にTWSモードでは、同時に40個の目標を探知し、そのうち8個を追尾、さらに4個の目標と同時交戦する能力を持っています。

しかし、ラファールの機体構造上の制約、特にレドームのサイズが比較的小さいことが、RBE2の探知距離に影響を与えていると指摘されています。そのため、他の第4.5世代戦闘機に搭載されているレーダーと比較して、探知距離が短いという意見があります。

2014年時点では、ラファール以外の戦闘機にRBE2を搭載する計画はありませんでした。ただし、試験的にミラージュ2000DがRBE2を搭載した事例や、グリペンDemo機が搭載するPS-05/AレーダーのフロントエンドをRBE2-AAのアクティブ・フェーズド・アレイ・アンテナ（AESAアンテナ）に統合したモデルが、2008年にグリペンDemoに搭載されたことがあります。しかし、ラファールとグリペンが輸出市場で競合しているという背景から、この統合モデルは量産には至りませんでした。

RBE2-AA

RBE2はパッシブ式のフェーズド・アレイ・レーダーであり、同時期に開発されたアクティブ式のレーダーと比較すると、性能面でやや劣る部分がありました。特に、ミーティア空対空ミサイルの性能を十分に引き出すことができないという課題がありました。そのため、2004年にフロント部分をアクティブ・フェーズド・アレイ化したRBE2-AAの開発が決定されました。

2010年からは、ダッソー ファルコン20およびミラージュ2000Dをテストベッド機として試験が開始されました。同年10月から12月にかけては、ラファールCの37号機に搭載してのテストが実施され、RBE2-AAの性能確認が行われました。

2012年10月2日には、生産段階からRBE2-AAを搭載したラファールが納入されました。既存のラファールへの換装は予定されていませんが、換装作業自体は比較的容易であり、ラファール本体に大きな変更を加えることなく数時間で交換できるため、将来的には換装が行われる可能性も考えられます。

RBE2-AAは約1,000個のガリウム砒素（GaAs）製半導体送受信モジュールで構成されており、RBE2と比較して探知距離が50%延長されています。また、電子対抗戦（ECCM）能力が向上したほか、合成開口（SAR）モードにおける高分解能マッピングが可能になりました。さらに、モジュールの耐久性も向上したことで、10年間のオーバーホールが不要となり、維持コストの削減にも貢献しています。

関連項目

AN/APG-77|AN_APG-77 - レイセオン社・ノースロップ・グラマン社製の同級機。
[AN/APG-63|AN_APG-63]3, AN/APG-79|AN_APG-79 - レイセオン社製の同級機。
AN/APG-80|AN_APG-80, AN/APG-81|AN_APG-81, AN/APG-83|AN_APG-83 - ノースロップ・グラマン社製の同級機。
CAESAR, ES-05 - ガリレオ・アヴィオニカ社製の同級機。
イールビス-E, ベルカ - V・V・チホミーロフ記念機器製作科学研究所（NIIP）製の同級機。
ジューク-A - ファゾトロン-NIIR製の同級機。
J/APG-1|J_APG-1 - 三菱電機製の同級機。
フランス空軍の火器管制レーダー
シラノ (レーダー) - ミラージュIII / ミラージュF1に搭載された火器管制レーダー
RDM - ミラージュ2000Cに搭載された火器管制レーダー。
RDY - ミラージュ2000-5に搭載された火器管制レーダー。
アンテロープ5 - ミラージュ2000N/Dに搭載された火器管制レーダー。対地攻撃に特化されており、地形追従・地形参照機能やグラウンドマッピング機能も持っている。

外部リンク

タレスグループ公式 - 広報PDF

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