RDNA (マイクロアーキテクチャ)

AMD RDNA マイクロアーキテクチャの解説

RDNA (Radeon DNA) は、AMDが開発したGPUマイクロアーキテクチャおよび付随する命令セットです。このアーキテクチャは、従来のGCN (Graphics Core Next) アーキテクチャを刷新し、より高いパフォーマンスと効率性を実現するために設計されました。以下に、RDNAの各世代の特徴、GCNとの違い、そしてゲーム機への採用について詳細を解説します。

RDNA (第1世代)

RDNAアーキテクチャを採用した最初の製品ラインナップは、AMD Radeon RX 5000シリーズ（コードネーム：Navi）です。このシリーズは、TSMCの7 nm FinFETプロセスで製造されており、GDDR6メモリのサポート、マルチレベルキャッシュ階層、改善されたレンダリングパイプラインを備えています。

アーキテクチャの特徴として、プリミティブシェーダーの動作有効化が挙げられます。この機能自体はVegaアーキテクチャ（GCN第5世代）にも存在しましたが、パフォーマンス向上が困難であったため、AMDは有効にしていませんでした。RDNAでは、プリミティブシェーダーがコンパイラーによって制御されるようになり、より効率的な処理が可能になりました。

また、ディスプレイコントローラーも更新され、Display Stream Compression 1.2aをサポートすることで、4K 240 Hz、HDR 4K 120 Hz、HDR 8K 60 Hzでの出力に対応しました。

命令セット

RDNA命令セットは、AMDのGPUOpen Webサイトで公開されているドキュメントで詳細に解説されています。この命令セットは、プログラマーやコンパイラーがアクセスできるネイティブなもので、GCN命令セットを基盤としながらも、いくつかの変更が加えられています。

GCNとRDNAの違い

RDNAは、GCNと比較して、コードのスケジュール方法に影響を与えるいくつかのアーキテクチャ上の変更が加えられています。

シングルサイクルの命令発行: GCNは4サイクルごとに1つの命令を発行していましたが、RDNAではサイクルごとに命令を発行するようになりました。
Wave32: GCNは64スレッドのWavefrontサイズを使用していましたが、RDNAでは32スレッドと64スレッドの両方をサポートしています。
ワークグループプロセッサ: GCNはシェーダーハードウェアを「コンピュートユニット」（CU）にグループ化していましたが、RDNAでは「ワークグループプロセッサ」（WGP）を導入しました。WGPは2つのCUを含み、単一のワークグループにより多くの計算能力とメモリ帯域幅を割り当てることが可能です。RDNAでは、1 CUは1/2 WGPとなります。

AMD RDNA 2

RDNA 1の後継であるRDNA 2マイクロアーキテクチャは2020年にリリースされました。AMDは、RDNA 1と比較してワットあたりのパフォーマンスが50％向上すると主張しています。また、クロック速度とクロックあたりの命令数も増加しており、リアルタイムのハードウェアレイトレーシング、可変レートシェーディング、メッシュシェーダー、サンプラーフィードバックなどの機能が追加されました。

このRDNA 2は、第9世代のゲームコンソール（Xbox Series X/S|Xbox Series X_SおよびPlayStation 5|PlayStation_5）にも採用されており、各コンソール向けに調整された構成で使用されています。マイクロソフトは、自社のXbox Series X/S|Xbox Series X_SがRDNA2の機能を最大限に活用できる唯一のハードウェアであると述べています。

AMD RDNA 3

RDNA 2の後継であるRDNA 3マイクロアーキテクチャは2022年11月に詳細が公開され、Radeon RX 7000シリーズとして製品化されました。

RDNA 3では、RDNA 2と比較して以下のような点が強化されています。

ワットパフォーマンスの向上: RDNA 2と比較して50%のワットパフォーマンス向上を実現しました。
チップレット設計: 5.3TB/sのチップレット相互接続帯域幅と580億個のトランジスタを備えたチップレット設計が採用されました。
演算ユニットの強化: AIアクセラレーションにより最大2.7倍のパフォーマンス、最大50%優れたCUあたりのレイトレーシングパフォーマンスを実現しました。
AMD Radiance Displayエンジン: DisplayPort 2.1 & USB Type-Cをサポートし、12ビットHDRと最大680億色の表示が可能です。
AV1対応: 8K60 AV1エンコード/デコードに対応し、MLで強化されたビデオエンコード機能も搭載しています。

まとめ

RDNAアーキテクチャは、AMDのGPU技術における重要な進化であり、ゲーム、プロフェッショナルなグラフィックス、そして最新のゲームコンソールにおいて、高いパフォーマンスと効率性を提供しています。世代を経るごとに、新機能の追加と性能向上が図られており、今後の発展も期待されます。

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