REAL AT NIGHT 〜眠れぬ夜の向こうに〜

1990年代から活躍を続ける日本の音楽ユニット、access（アクセス）が発表した作品群の中で、通算14枚目のシングルとして位置づけられているのが「REAL AT NIGHT 〜眠れぬ夜の向こうに〜」です。このシングルは、2003年 2月19日にアンティノスレコードからリリースされました。彼らのディスコグラフィーにおいて、この時期にリリースされた楽曲は、活動再開後の勢いを反映しています。

リリース背景とメディア戦略

このシングルは、同年にリリースされたaccessの5枚目のオリジナルアルバム『Rippin' GHOST』に収録されていた楽曲を、改めてシングルカットとして発表したものです。アルバムからの先行または同時期シングルではなく、発表済みの楽曲をシングルとして独立させる形が取られました。このようなリリース形態は、アルバム全体のプロモーションを強化する目的や、特定の楽曲に焦点を当てる意図があったと考えられます。

また、この「REAL AT NIGHT 〜眠れぬ夜の向こうに〜」は、テレビ朝日系列で放送されていた人気バラエティ番組『内村プロデュース』の2003年1月から3月までのクールにおけるエンディングテーマとして起用されました。テレビ番組とのタイアップは、楽曲の認知度向上に大きく貢献するプロモーション戦略の一つであり、accessの楽曲がより広い層の視聴者の耳に届く機会となりました。

商業実績

音楽ソフトの売上枚数においては、オリコンチャートの集計で累計0.6万枚を記録しています。これは、当時の音楽市場の状況や、シングルカットという形式、後述する特殊なメディア形式など、様々な要因が影響した結果と言えます。

特筆すべきメディア形式：コピーコントロールCD (CCCD)

このシングル「REAL AT NIGHT 〜眠れぬ夜の向こうに〜」は、そのリリースされた時期とメディア形式において、accessの作品群の中でも極めてユニークな存在となっています。2003年は、音楽業界、特にソニー・ミュージックエンタテインメントなどの大手レーベルが、音楽CDの違法コピー問題への対策として、コピーコントロール技術を導入したメディア形式であるCCCD（Copy Control CD）を本格的に展開し始めた時期でした。CCCDは、通常のCDプレイヤーでの再生は可能とされる一方で、パソコンのCD-ROMドライブなどでのデジタルコピーを困難にすることを目的としていましたが、その再生互換性や音質に対する懸念、利用上の不便さなどから、消費者や音楽ファンの間で賛否両論が巻き起こりました。

興味深いことに、accessが同時期にリリースした他の作品、例えばオリジナルアルバム『Rippin' GHOST』やリミックスアルバム『Re-sync GHOST』などは、従来の国際規格に則った通常のCDDA（Compact Disc Digital Audio）形式で発売されています。しかし、なぜかこの14枚目のシングルである「REAL AT NIGHT 〜眠れぬ夜の向こうに〜」のみが、ソニー・ミュージックエンタテインメント（当時の発売元であるアンティノスレコードはSME傘下）の方針により、CCCD仕様でのリリースが選択されました。これは、accessの公式なディスコグラフィーにおいて、物理メディアとしてCCCD形式で発売された唯一の作品となっています。この事実は、2000年代初頭の日本の音楽産業におけるメディア形式の実験と混乱の時期を、accessという人気アーティストもまた経験していたことを物語っています。後にCCCDは市場から事実上撤退することになりますが、このシングルは当時の音楽メディアの特殊な状況を今に伝える貴重な物理媒体とも言えます。

収録曲情報

シングルに収められている表題曲「REAL AT NIGHT 〜眠れぬ夜の向こうに〜」は、作詞をaccessのボーカル担当である貴水博之が、作曲と編曲をキーボード・シンセサイザー・プログラミング担当の浅倉大介がそれぞれ手掛けています。accessの楽曲制作における基本的なスタイル、すなわち浅倉大介によるサウンドメイキングと、貴水博之による lyrical な世界観の構築という分業体制が反映された一曲と言えます。

このシングルは、アルバムからのリカット、人気テレビ番組のタイアップ、そして何よりも当時の特殊なメディア形式であるCCCDでリリースされたaccess唯一の作品であるという点で、彼らの活動の歴史において特異な位置を占めています。

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