RISC/os

RISC/osは、MIPS Computer Systemによって開発された商用UNIXオペレーティングシステムです。このOSは、初期の段階で複数の系統が存在しました。具体的には、4.3BSDをベースに実装されたバージョンと、System V R3およびSystem V R4をベースに実装されたバージョンの3種類がありました。

これらのうち、特に広く利用されたのはSystem V R3をベースとしたものでした。この選択は、当時の商用UNIX市場におけるSystem Vの影響力を反映しています。しかし、興味深い点として、System VベースのRISC/osでも、4.3BSDに関連するシステムコール、ライブラリ、コマンドが継続してサポートされていました。これは、開発者やユーザーがBSD環境に慣れ親しんでいたことや、特定の機能がBSD系でより洗練されていたことなどが理由として考えられます。

MIPS社は、単にOSの開発だけでなく、CPUメーカーでもありました。そのため、RISC/osはMIPS社のCPUアーキテクチャ、特にR2000やR3000といったプロセッサをネイティブにサポートしていました。その後、R6000（ECL版）やR4000といったより高度なプロセッサもサポート対象に追加されました。

さらに、RISC/osはMIPS社が提供する開発環境の中心的な役割も担っていました。MIPS社製のC言語、Pascal、FORTRANなどのコンパイラや、ソフトウェアシミュレータであるSPP（System Programmers Package）などが、RISC/os上で標準的に利用可能でした。これにより、RISC/osはMIPSアーキテクチャ向けのソフトウェア開発プラットフォームとしての地位を確立しました。

しかし、MIPS社が自社のUNIXマシンの開発と販売を停止する決定を下したことにより、RISC/osの開発も凍結されることになりました。この決定は、RISC/osの歴史に終止符を打つことになり、その後、RISC/osは新しいバージョンがリリースされることはありませんでした。しかし、RISC/osは、当時のUNIX市場、特にMIPSアーキテクチャにおける重要な存在であり、その影響は現在も一部で見ることができます。

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