RISE/Together

概要

「RISE / Together」（ライズトゥゲザー）は、日本の実力派ポップ・グループ、SING LIKE TALKINGが2020年1月22日に世に送り出した7インチ・シングル盤です。この作品は、彼らがかつて所属していたレコードレーベル、FUN HOUSEからリリースされた数々の名曲の中から、「RISE」と「Together」というファンに長く愛される2曲を選りすぐり、初めて公式にアナログ盤としてリリースした点で注目を集めました。レコードプレーヤーで音楽を聴くスタイルが再び見直される中、音質や物質的な所有感を重視する音楽愛好家、特にアナログレコードのリスナーに向けた企画として、完全生産限定盤として発売されました。

企画と制作の背景

本作の実現には、和モノ・ディスクガイド「和モノA to Z」の監修者として知られ、レコード文化に造詣の深いdj 吉沢dynamite.jp氏の存在が大きく関わっています。彼は、SING LIKE TALKINGの膨大な楽曲群の中から、アナログ7インチ盤というフォーマットに最も適した楽曲として「RISE」と「Together」を選定しました。さらに、吉沢氏は単なる選曲だけでなく、自身でアナログ盤での再生に最適化されたエディット作業も担当しています。

このエディットに関して、吉沢氏は自身のソーシャルメディア上でその意図を詳しく説明しています。彼は、7インチ盤に収録するにあたり、音質や音圧を最大限に引き出すためにはある程度の尺の調整が必要だったものの、原曲のイメージや感動を損なうような大幅な改変は行っておらず、「7インチ・バージョン」として位置づけていると述べています。特に、楽曲「RISE」の代名詞とも言える長いイントロ部分については、DJとしてその部分の重要性を認識していたため、カットすることなくそのまま収録したと明かしています。また、当初は他の候補曲も検討されていたことにも触れており、例えば名曲「風に抱かれて」も候補の一つでしたが、その演奏が極めて完成されており、7インチ盤に収まる短尺に編集するための「余地」や「隙間」が全く見当たらなかったため、収録を断念したという裏話も披露しています。このように、吉沢氏ならではの選曲眼と、楽曲への深いリスペクトが、本作のエディット作業に込められています。

さらに、本作の音質を決定づける重要な工程であるカッティングは、アメリカを拠点とする世界的なマスタリング／カッティング・エンジニア、バーニー・グランドマンが担当しました。彼の卓越した技術により、アナログレコードならではの温かみのあるサウンドと、ダイナミックな音圧が実現され、SING LIKE TALKINGの音楽が持つ繊細さと力強さがアナログ盤上で見事に表現されています。

収録曲

この7インチ・シングルには、以下の2曲が両A面として収録されています。どちらもオリジナル音源にdj 吉沢dynamite.jp氏によるアナログ盤向けのエディットが施されています。

Side A: RISE (Analog Edit ver.) - 4分44秒
作詞・作曲：藤田千章・佐藤竹善
編曲：SING LIKE TALKING
原曲は1993年にリリースされたSING LIKE TALKINGの10枚目のシングル。その壮大な楽曲構成とメッセージ性で知られています。
Side B: Together (Analog Edit ver.) - 4分46秒
原曲は1994年にリリースされた12枚目のシングル。温かく包み込むようなメロディーと歌詞を持つバラードで、ファンからの人気も高い一曲です。

これらの楽曲が、アナログ盤として新たな息吹を吹き込まれ、リスナーに届けられました。

アートワーク

本作のアートワークも、アナログレコードならではの魅力を引き立てるデザインが採用されています。レコード盤自体の中央部分にあるレーベル面は、「RISE」を収録したSide Aが青地に白文字、「Together」を収録したSide Bが白地に青文字という、異なる配色でデザインされており、コレクター心をくすぐる仕様となっています。

また、シングルのジャケットデザインについても、企画者の吉沢氏が言及しています。彼は、このジャケットが「当時のプロモーション盤の雰囲気を意図的に再現したもの」であることを自身のSNSで明かしています。これは、リアルタイムでSING LIKE TALKINGの活動を追ってきたファンにとっては懐かしく感じられるだけでなく、アナログレコードの歴史や文化に触れる新たなリスナーにとっても興味深い試みと言えます。隅々にまでこだわったデザインは、本作が単なる再発ではなく、一つの作品として丁寧につくり込まれていることを示しています。

その他

本シングル「RISE / Together」は、その希少性から、現在では入手が難しい状況となっています。関連情報としては、ソニーミュージックの公式サイト内にあるSING LIKE TALKINGのディスコグラフィや、世界中の音楽リリース情報を集めたデータベースサイトであるDiscogsなどでもその詳細を確認することができます。アナログレコードという形態で、彼らの名曲に新たな光を当てた本作は、SING LIKE TALKINGのディスコグラフィにおいて特別な位置を占める一枚と言えるでしょう。

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