ROMANTIQUE (大貫妙子のアルバム)

アルバム『ROMANTIQUE』について

『ROMANTIQUE』は、大貫妙子の4枚目のスタジオ・アルバムであり、1980年7月21日にRVC（現在のアリオラジャパン）から発表されました。この作品は、前作『MIGNONNE』のリリースから約2年後の作品で、彼女にとっての新たな挑戦と音楽性の探求を示しています。

背景と制作過程

アルバム制作に入る前、大貫は一時的に音楽から離れ、新たな視点を求める時期を過ごしました。この沈黙の時代は、前作の売上が期待に反して低迷し、音楽業界の状況に疲れを感じたことがきっかけでした。彼女は周囲の期待に応えることができず、音楽を仕事にすることに不安を抱いていたのです。ただし、その間も彼女は山下達郎のコンサートツアーにバックコーラスとして参加し、様々なスタジオでの活動を通じて音楽への情熱を失うことなく過ごしました。

新たな挑戦とヨーロッパの影響

1980年初頭、大貫は知人の牧村憲一のプロデュースの元でレコーディングを始めることになります。彼との出会いが、彼女に新たな音楽の方向性を与えました。牧村は彼女に「ヨーロッパの音楽を取り入れてみよう」と提案し、大貫はそれに応じて新しいスタイルに挑戦することに。音楽的な影響としては、フランソワーズ・アルディやブリジット・フォンテーヌなど、フランスのアーティストを挙げています。

アレンジャーとのコラボレーション

アルバムのサウンドは、坂本龍一や加藤和彦など、著名なアレンジャーとの共同作業によって生まれました。特に坂本は、彼女の音楽に対する新たなアプローチを提供し、曲ごとの雰囲気を巧みに表現。大貫は、まず音楽的なイメージができてから歌詞を考えるスタイルを取り入れ、音楽全体を通してメッセージを伝えることを重視しました。

アートワークと収録曲

アルバムのジャケットは、鋤田正義の手によるもので、彼はその際の撮影が大貫の音楽イメージを大切にしながら進められたと語っています。収録曲のリストには、「CARNAVAL」や「果てなき旅情」などが含まれ、各曲ともに異なる雰囲気を持つ魅力的な楽曲です。また、2006年にはリマスタリング音源を使用した限定版がリリースされ、未収録曲「愛にすくわれたい」もボーナストラックとして追加されました。

大貫自身の変化

大貫はこのアルバムによって、自己表現の幅が広がり、さらには音楽的な成長を感じました。自身の心理的変化や思いやりの必要性を理解するようになった時期でもあり、ご自身の成長を反映した作品になったといいます。他者との交流を通じて、自分にしか表現できない音楽を確立できたことが、彼女にとって大きな成果でした。

まとめ

『ROMANTIQUE』は、大貫妙子にとっての新たなスタート地点であり、彼女のアーティストとしての成長を示す画期的な作品です。音楽に対する情熱を持ち続けていた彼女は、このアルバムによって自らの音楽性をさらに確立し、多くのリスナーに新しい体験を提供しました。

もう一度検索