『RPM』の歴史と影響
『RPM』は、
1964年2月に創刊された
カナダの音楽業界誌です。この雑誌は、
カナダ国内の楽曲やアルバムのチャートを提供し、音楽市場における重要な役割を果たしました。創刊当初はウォルト・グレアリスが
レコードレーベルのスタン・クリースからの支援を受けて立ち上げ、長きにわたり音楽の情報を発信し続けましたが、最終的には
2000年11月に廃刊となりました。
雑誌名の『RPM』は「レコード、宣伝、音楽」を意味する言葉の頭文字に由来しており、時には「RPM Weekly」や「RPM Magazine」と呼ばれることもありました。『RPM』では、さまざまな音楽ジャンルのトップシングルをはじめ、アダルト・コンテンポラリー、ダンス、アーバン、ロック/オルタナティブ、カントリー音楽など、多彩なチャートが掲載されました。特に
1966年3月21日付の号からは、トップ・シングル・チャートがターゲットをトップ40からトップ100に拡大し、より多くのアーティストの楽曲が評価されることとなりました。
『RPM』の最も重要な貢献の一つは、Canadaの音楽業界の評価システムを確立したことです。
1964年以降、同誌は毎年、読者を対象に様々なカテゴリーからの投票を募り、音楽業界での優れた業績を表彰する「RPM賞」を開催しました。この制度は1970年にゴールドリーフ賞へと発展し、その後
ジュノー賞へと進化していくのです。
1964年12月28日発表の『RPM』において、初のRPM賞が告知され、以下の受賞者が選ばれました:
- - 最優秀男性歌手:テリー・ブラック
- - 最優秀女性歌手:シャーリー・マシューズ
- - 最も将来が期待される男性歌手:ジャック・ロンドン
- - 最も将来が期待される女性歌手:リンダ・レイン
- - 最優秀ボーカル/インストゥルメンタル・グループ:エスクワイアーズ
- - 最優秀女性ボーカル・グループ:ガールフレンズ
- - 最優秀ボーカル/インストゥルメンタル・グループ:ウェス・ダカス&ザ・レベルズ
- - 最優秀フォーク・グループ:ザ・クーリアーズ
- - 最優秀カントリー男性歌手:ゲイリー・バック
- - 最優秀カントリー女性歌手:パット・ハーヴェイ
- - 今年を代表する業界人:ジョニー・マーフィー
- - 最優秀レコード会社:キャピトル・レコード・オブ・カナダ
- - 最優秀アルバム:フィリス・マーシャルの『That Girl』
この年、最優秀レコード会社に関しては、得票数により
キャピトル・レコードが選ばれましたが、このカテゴリーでは利益相反が発生したことが指摘され、次点の
キャピトル・レコードの受賞と相成りました。
1965年のRPM賞
翌1965年には、前年よりもさらにカントリー音楽に関するカテゴリーが充実しました。ノミネートされたアーティストやグループの中から多くの才能が選ばれ、受賞が行われました。
このように、『RPM』は
カナダの音楽業界に多大な影響を与え、後の
ジュノー賞の基盤を築いた重要な媒体でした。雑誌は音楽のトレンドを追い続けるだけでなく、アーティストの評価と認知度を高める役割も担っていました。『RPM』の廃刊後も、その影響力は現在まで続いており、
カナダの音楽史においては欠かせない存在です。