RQ-170 (航空機)

RQ-170 センチネル

RQ-170 センチネルは、アメリカ空軍による運用の無人航空機（UAV）で、ロッキード・マーティン社のスカンクワークスによって開発されました。2009年12月4日になって初めて公式にその存在が認知され、それまでの間は秘密裏に開発が進められていました。特に、アフガニスタンで目撃された際には、ジャーナリストから「カンダハールの野獣」と呼ばれたこともありました。

この無人機は、ウサーマ・ビン・ラーディンの排除作戦における偵察活動にも使用されたとされ、実際の性能や機能については詳細が公表されていないものの、その形状は全翼無尾翼機の特徴を持ち、極めて高いステルス性を意識して設計されています。これにより、敵のレーダーに探知されるリスクが低減され、重要な情報収集任務を遂行することが可能です。なお、RQ-170の「RQ」は偵察用の無人機であることを示しており、武装を搭載しない設計であると考えられています。

開発や実戦配備の具体的なタイミングは非公開ですが、RQ-170の型番に使われている「170」という数字は、先行するRQ-1 プレデターやRQ-21 ブラックジャックの開発順とはかけ離れています。このような一見異なる命名は、初のステルス機F-117 ナイトホークの開発時にも見られた手法です。

鹵獲とその影響

2011年12月6日、イランがRQ-170を鹵獲したと発表し、電子的にシステムに侵入し、着陸させたと伝えました。この鹵獲は、GPS信号を偽装し、無人機自身が帰還したと誤認識させることで実現しました。この事件を受けて、オバマ大統領は同機の存在を認め、返還を求めることとなりました。

その後、2014年にはイランがこのRQ-170を基にした新型無人機『シームルグ』の映像を公開しました。革命防衛隊はその性能を向上させたと主張していますが、アメリカ国防総省はそれに否定的な見解を示しました。さらに、2016年には『サーエゲ』という武装型の無人機を公開し、2018年にはシリアから発進したサーエゲがイスラエルによって撃墜されています。

仕様

RQ-170の一般的な仕様は以下の通りです。

• - 乗組員: 0名
• - 全長: 4.50メートル
• - 全幅: 20.0メートル
• - 全高: 2.00メートル（推定）
• - エンジン: ギャレットTFE1またはゼネラルエレクトリックTF731ターボファン×1台
• - 実用上昇限度: 15,240メートル（推定）

RQ-170 センチネルは、その高度な技術と戦略的重要性から、アメリカの空の防衛において欠かせない存在となっています。

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