RSS

RSS：ウェブサイト更新情報を配信するフォーマット

RSS（Really Simple Syndication）は、ニュースサイトやブログなどのウェブサイトの更新情報を効率的に配信するためのフォーマットです。RSSリーダーと呼ばれるソフトウェアを使うことで、ユーザーは様々なウェブサイトの最新情報を一元的に取得・閲覧できます。RSSに対応したウェブサイトでは、通常、RSSフィードへのリンクを示すアイコンが表示されます。

RSSの歴史と規格の分岐

RSSは、その歴史の中で複数の規格を生み出しました。主な原因は、Resource Description Framework（RDF）の採用を巡る意見の相違です。現在、主にRSS 1.0系統とRSS 2.0系統の2つの主要な規格が存在します。

初期のRSS 0.9はRDFベースでしたが、シンプルさを追求したRSS 0.91ではRDFが廃止されました。この0.91は、UserLand Software社の「Scripting News」から多くの要素を取り入れ、より多くの情報を配信できるようになりました。その後、Netscape Communications社の撤退により、RSSの開発は混乱期を迎えました。

RSS 1.0系統は、RSS-DEV Working Groupによって開発され、RDFを再び採用することでメタデータ記述機能を強化しました。一方、RSS 2.0系統はUserLand Software社が0.91を基に開発し、シンプルさを重視した設計となっています。RSS 2.0は、コンテンツ配信に特化し、RDFの複雑さを排除することで、より幅広いユーザーに利用されるようになりました。RSS 1.0とRSS 2.0は互換性がなく、それぞれ異なる特徴を持つため、用途に応じて使い分けられています。

RSS 1.0系統の詳細

RSS 1.0は、RDFを採用することで、より複雑なメタデータの記述を可能にしました。また、コアとなる語彙と、拡張用のモジュールを定義することで、柔軟性と拡張性を両立しています。Dublin Coreモジュール、Syndicationモジュール、Contentモジュールなど、複数の公式モジュールが提供されています。しかし、RDFの複雑さから、すべての開発者にとって使いやすいとは限りませんでした。

RSS 2.0系統の詳細

RSS 2.0は、RSS 0.91からの進化系であり、シンプルさを重視した設計が特徴です。RDFを採用せず、XML形式で記述されるため、理解しやすく、実装も容易です。RSS 0.91との互換性も維持されているため、移行もスムーズに行えます。シンプルさを優先したことで、RSS 1.0が持つ高度な表現力は失われている点は留意が必要です。

Atomの登場とRSSの衰退

RSSの規格の混乱や複雑さを解消するために、Atomという新しい規格が登場しました。Atomは、より明確な仕様とシンプルな設計を特徴としており、多くの開発者から支持を得ました。しかし、SNSやキュレーションアプリなどの普及により、RSSそのものの需要が減少し、多くのRSSリーダーサービスが終了しました。GoogleリーダーやLive Dwango Readerなどがその例です。主要ブラウザであるMozilla FirefoxもRSS/Atomのサポートを廃止しました。

まとめ

RSSはウェブサイトの更新情報を配信するための有用なフォーマットでしたが、技術的な複雑さや、新たなサービスの台頭により、その役割は減少しました。しかし、RSSの歴史は、ウェブ技術の発展における重要な一側面を示しており、現在でも技術的な資料や歴史的経緯を学ぶ上で重要な存在であり続けています。RSSの歴史と規格の多様性を理解することで、現在のウェブ技術の発展をより深く理解することができます。

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