Rain (大江千里の曲)

大江千里「Rain」：時代を超えて愛される雨の日の名曲

大江千里の楽曲「Rain」は、1988年に発表されたアルバム『1234』に収録されて以来、多くの人々を魅了し続けている名曲です。雨の情景と、それに重なる不安定な心情を繊細に描いた歌詞と、印象的なメロディは、時代を超えて様々なアーティストにカバーされ、新たな魅力を放っています。

楽曲の構成と特徴

「Rain」の歌詞は、雨が降る街並みを背景に、人を思う気持ちや不安定な心理を描いています。大江千里は、この曲の情景について、つつじヶ丘や調布市にあるロータリーをイメージしていたと語っています。楽曲は、幾度かの転調を繰り返し、その瞬間に歌詞の時系列が進むという構成が特徴的です。Aメロ部分には、クラシック音楽の技法であるカノン進行が用いられており、美しい旋律を奏でています。

リリースと収録アルバム

「Rain」は、1988年7月21日にEPIC/SONY RECORDSから発売されたアルバム『1234』の4曲目に収録されました。その後、『Sloppy Joe』や『2000 JOE』などのベスト・アルバムにも収録され、多くのファンに親しまれてきました。2008年に大江千里がジャズ・ピアニストに転向してからは、この曲をジャズ調にリアレンジしたインストゥルメンタルとして演奏しており、2018年に発売されたアルバム『Boys & Girls』には、そのジャズ・バージョンが収録されています。

シングル・カットと40周年記念

楽曲制作当時、ディレクターの松浦善博は本作のシングル化を希望していましたが、長らく実現しませんでした。しかし、2022年3月18日、デビュー40周年プロジェクトの第1弾として、シングル『Rain』とアルバム『Letter to N.Y.』のアナログ盤が、5月25日に完全生産限定で発売されることが発表されました。楽曲発表から約34年の時を経て、ついにシングル・カットが実現したのです。シングルのカップリングには、2018年発売のアルバム『Boys & Girls』に収録されたジャズ・バージョンが収録され、盤面はクリアブルー仕様、ジャケットには大川直人が撮影した写真が使用されています。

カバー・バージョン

「Rain」は、数多くのアーティストによってカバーされています。その中でも特に有名なのは、槇原敬之と秦基博によるカバーです。

槇原敬之によるカバー

槇原敬之は、1998年に発売したカバー・アルバム『Listen To The Music』で「Rain」をカバーしました。大江千里は、槇原のカバー・バージョンをコンサートのMCで称賛し、槇原自身も「僕らが影響を受けた時代の男性シンガーソングライターの祖のような方なので、すごくうれしかった」とコメントしています。槇原はその後も、2014年のカバー・アルバム『Listen To The Music 3』で再び「Rain」をカバーし、2019年のカバー・ベスト・アルバム『The Best of Listen To The Music』にも収録しています。

秦基博によるカバー

秦基博は、2013年に公開されたアニメ映画『言の葉の庭』のエンディングテーマとして「Rain」をカバーしました。新海誠監督からのラブコールに応えてのカバーでしたが、秦は当初この曲を知らなかったため、「なぜ監督はこの曲を使おうと思ったのか」を考えたといいます。アレンジについては、「音楽で少し晴れやかな感情を表現しようと、アレンジャーの皆川（真人）さんとサウンドにこだわって作りましたね。ドラムやコンピュータの打ち込みはわざと80年代っぽくしたり、アコギは自分で弾いたり、サウンドメイクは自分らしくできたと思います」と語っています。秦のカバー・バージョンは、Billboard Japan Hot 100で最高位64位を記録しました。

その他のアーティストによるカバー

その他にも、TRADITIONAL BOX、アイドルネッサンス、朝倉さや、関ジャニ∞、Wakana、渡辺美里、花澤香菜、入野自由など、様々なアーティストが「Rain」をカバーしています。

「Rain」は、発表から30年以上経った今も、多くの人々に愛され、歌い継がれている名曲です。雨の日に、この曲を聴きながら、過ぎ去った日々や大切な人を想うのも良いかもしれません。

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