S&P グローバル・レーティング

S&Pグローバル・レーティングとは

S&Pグローバル・レーティング（S&P Global Ratings）は、S&Pグローバル（NYSE: SPGI）の一部門であり、世界最大手の格付け機関です。金融商品、企業、政府などの信用状態に関する意見や投資情報を提供しています。本社をアメリカ・ニューヨークに置き、世界26カ国にオフィスを展開しています。

その起源は1860年にヘンリー・ヴァーナム・プアーが始めた鉄道会社の債券信用調査に遡ります。1966年にマグロウヒル傘下となり、1975年には日本の発行体に対する格付けを開始しました。1986年には東京オフィスを開設しています。

日本には、「S&Pグローバル・レーティング・ジャパン株式会社」と「S&PグローバルSFジャパン株式会社」の2つの法人があります。前者は米国の登録格付け機関であるS&Pグローバル・レーティングの日本法人であり、後者は日本の登録格付け機関です。両社とも東京にオフィスを構えています。

格付けの種類

格付けは、発行体の信用力に関する「発行体格付け」と、特定の債務に関する「個別債務格付け」に大別されます。格付け機関は、債券発行側から手数料収入を得て格付けを行うビジネスモデルを採用しています。

サブプライムローン問題では、最高格付けのAAAが付与された債権が、金融危機時に短期間でジャンク級に格下げされたことが問題となりました。この混乱を受け、格付け機関の責任が問われ、米国議会で公聴会が開かれました。その後、透明性、監督、説明責任を強化する規制が導入されました。

格付けの定義

以下に、S&Pグローバル・レーティングが定める格付けの定義を説明します。

発行体格付け

長期発行体格付け

AAA: 債務履行能力が極めて高い最上位の格付けです。
AA: 債務履行能力が非常に高く、AAAに次ぐ格付けです。
A: 債務履行能力は高いですが、上位2つの格付けよりも事業環境や経済状況の影響を受けやすいです。
BBB: 債務履行能力は適切ですが、事業環境等の悪化により履行能力が低下する可能性があります。
BB, B, CCC, CC: これらは投機的要素が強いと見なされます。BBが最も低く、CCが最も高いリスクを示します。
BB: 事業環境等の悪化に脆弱性があり、債務の期日通りの履行が不十分になる可能性があります。
B: 現時点では債務履行能力がありますが、BBよりも脆弱です。
CCC: 債務者は脆弱であり、債務履行は良好な事業環境に依存します。
CC: 債務者は非常に脆弱です。
プラス記号(+), マイナス記号(-): AAからCCCまでの格付けに付与され、各カテゴリー内での相対的な強さを示します。
R: 財務上の問題で規制当局の監督下にある債務者に付与されます。
SD, D: 債務不履行を示す。Dは全面的債務不履行、SDは選択的債務不履行を意味します。
N.R.: 格付け対象ではないことを示します。

短期発行体格付け

A-1: 債務履行能力が高い最上位の格付けです。極めて高い場合はプラス記号(+)が付与されます。
A-2: 債務履行能力は十分ですが、A-1より事業環境等の影響を受けやすいです。
A-3: 債務履行能力は適切ですが、事業環境等の悪化により履行能力が低下する可能性があります。
B: 債務履行能力はあるものの、投機的要素が強く、脆弱です。
C: 債務者は脆弱で、債務履行は良好な環境に依存します。
R: 財務上の問題で規制当局の監督下にある債務者に付与されます。
SD, D: 債務不履行を示す。Dは全面的債務不履行、SDは選択的債務不履行を意味します。
N.R.: 格付け対象ではないことを示します。

個別債務格付け

長期個別債務格付け

AAA: 債務履行能力が極めて高い最上位の格付けです。
AA: 債務履行能力が非常に高く、AAAに次ぐ格付けです。
A: 債務履行能力は高いですが、上位2つの格付けよりも事業環境や経済状況の影響を受けやすいです。
BBB: 債務履行のための財務内容は適切ですが、事業環境等の悪化により履行能力が低下する可能性があります。
BB, B, CCC, CC, C: 投機的要素が強いとみなされます。BBが最も低く、Cが最も高いリスクを示します。
BB: 他の投機的格付けよりも不履行の可能性は低いですが、事業環境等の悪化に脆弱です。
B: 債務履行能力はあるものの、BBよりも不確実性が高いです。
CCC: 債務履行の不確実性が高く、良好な環境に依存します。
CC: 債務履行の不確実性が非常に高いです。
C: 劣後債務や優先株式に付与され、支払いの不確実性が非常に高いことを示します。
D: 債務が不払いであることを示します。
プラス記号(+), マイナス記号(-): AAからCCCまでの格付けに付与され、各カテゴリー内での相対的な強さを示します。
N.R.: 格付け対象ではないことを示します。

短期個別債務格付け

A-1: 債務履行能力が高い最上位の格付けです。極めて高い場合はプラス記号(+)が付与されます。
A-2: 債務履行能力は十分ですが、A-1より事業環境等の影響を受けやすいです。
A-3: 債務履行のための財務内容は適切ですが、事業環境等の悪化により履行能力が低下する可能性があります。
B: 投機的要素が強く、債務を履行する能力が不十分となる可能性があります。
C: 債務履行の不確実性が高く、良好な環境に依存します。
D: 債務が不払いであることを示します。

共通の符号

i: 個別債務に用いられ、利払いの蓋然性が元本の支払いと異なる場合に付与されます。
p: 個別債務に用いられ、元本の支払いの蓋然性が利払いと異なる場合に付与されます。

関連項目

S&PグローバルSFジャパン株式会社を含む以下の5社は、金融庁長官から指定を受けた指定格付機関です。

ムーディーズ
フィッチ・レーティングス
日本格付研究所
格付投資情報センター

その他

ヘンリー・ヴァーナム・プアー

外部リンク

S&Pグローバル・レーティング 公式ウェブサイト（英語）
* スタンダード＆プアーズ 日本

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