S.XIII (航空機)

スパッド S.XIII 概要

スパッド S.XIIIは、フランスの航空機メーカー、スパッド（Société Pour L'Aviation et ses Dérivés）が第一次世界大戦期に開発した単発、単座、複葉式の戦闘機です。基本的には、成功を収めた前のモデルであるスパッド S.VIIの改良型として位置付けられています。著名な設計者であるルイ・ベシュローは、当時のエースパイロット、ジョルジュ・ギンヌメールとの交流を持ち、彼の意見を基にS.VIIを改良したS.XIIを設計しました。しかし、S.XIIは操縦が難しいという問題があったため、より扱いやすい設計が求められ、その結果、生まれたのがS.XIIIです。

設計と性能

S.XIIIでは、エンジン出力が強化され、翼の形状も改良されました。また、補助翼の数も増加し、旋回性能が大きく向上しました。一方で、離着陸時の安定性には課題が残り、操縦者には注意が必要でした。武装としては、ヴィッカース製の7.7mm機銃が2挺搭載されており、その火力は当時の他の戦闘機と比べても優れていました。

飛行性能については、当時の主力機と比較しても優れた最高速度を持ち、特に急降下性能は際立っていました。初飛行から1か月後には、フランス空軍での配備が始まり、その後も長期間にわたり主力戦闘機として活躍しました。特にアメリカ陸軍航空隊では1920年まで使用されるなど、戦後もその人気は衰えませんでした。また、フランス以外にも、チェコ・スロバキア、ポーランド、日本などに輸出されました。

日本における導入

日本では1919年にフォール教育団の教材機として4機が輸入され、翌年にはさらに98機が追加されました。これらはス式一三型戦闘機として採用されました。1921年には丙式一型戦闘機として正式に制式採用されましたが、日本の航空機に詳しい操縦者がニューポール 24などの軽戦闘機に慣れていたため、スパッド S.XIIIはその扱い方に苦慮しました。特に、離陸時に左右に衝撃が加わる特性があり、誤った操縦操作を行うと、Uターンをしながら危険な方向へ飛び立つことがあったと伝えられています。また、1920年にはフランスで操縦を学習した石橋勝浪がこの機体を購入し、第2回懸賞郵便飛行大会で優勝するなど、個人操縦士としての活躍も評価されました。

技術的な諸元

• - 乗員：1名
• - 全幅：8.25 m
• - 全長：6.25 m
• - 全高：2.60 m
• - 自重：566 kg
• - 全備重量：856 kg
• - 発動機：イスパノスイザ 8Be（水冷V型8気筒、220馬力）
• - 最大速度：218 km/h
• - 実用上昇限度：6,650 m
• - 武装：ヴィッカース 7.7mm機銃×2

このように、スパッド S.XIIIは設計の工夫に加え、多くのパイロットによって支持された名機として、第一次世界大戦期の航空戦に貢献しました。

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