S1 (格闘技)

S1 Championship

S1（エスワン） Championshipは、タイ王国を拠点とするムエタイの世界王座認定団体です。著名なムエタイプロモーターであるソンチャイ・ラタナスバン氏によって創設され、彼が代表を務めるワンソンチャイプロモーションが管理運営を担っています。団体名の「S1」は、創設者であるソンチャイ氏の頭文字「S」に由来しており、その権威と伝統を象徴しています。S1は、ムエタイの本場タイの基準に基づいた厳格なルールのもと、世界各国で公式戦を行い、世界王座だけでなく、各国の国内王座（ナショナル王座）、さらには女子選手の王座も認定しています。これまでに、ジョン・ウェイン・パー、ブアカーオ・ポー.プラムック、ソンチャイノーイ・ゲッソンリットといったタイ内外のレジェンドや、中野椋太、☆SAHO☆といった日本の実力者など、多くの著名な選手たちがS1の世界王座を獲得しています。

歴史と発展

S1 Championshipの歴史は、2003年12月5日、タイ国王の生誕記念日に行われた記念すべき第1回興行に始まります。この大会では、S1の名称を冠した初めての公式戦として72kg級のトーナメントが開催され、スリヤー・ソー・プルンチット選手が初代優勝者となりました。翌2004年3月4日には第2回目のトーナメントが実施されましたが、この際に肘打ちが禁止されたことが、ムエタイの核心部分を重視するタイの観客から強い不満を招く結果となりました。この経験を踏まえ、S1は以降、トーナメント形式ではなく、王座挑戦者と王者が対戦するタイトルマッチ形式での王座認定へと方式を改めました。

S1はムエタイの国際的な普及を目指し、タイ国内だけでなく、S1ジャパン、S1タイ、S1UK、S1ギリシャなど、世界各国に支部を設立しています。これらの支部は、それぞれの国や地域におけるムエタイの振興を図り、ナショナル王座の認定などを通じて地元選手の育成・発掘にも力を入れています。特にS1ジャパンは、2019年に日本の主要キックボクシング団体の一つであるニュージャパンキックボクシング連盟（NJKF）と提携し、NJKFの理事長である坂上顕二氏がS1ジャパンの代表に就任しました。この提携のもと、日本では55kg級と65kg級の2階級で、国内の有力選手や他団体王者を集めたS1ジャパントーナメントが開催されました。このトーナメントでは、55kg級では大田拓真選手、65kg級では中野椋太選手が優勝し、S1ジャパンの歴史にその名を刻みました。

試合規則

S1 Championshipの認定試合は、完全なムエタイルールに基づいて行われることが義務付けられています。これは、パンチ、キック、首相撲、肘打ち、膝蹴りといった、ムエタイの伝統的なあらゆる技術の使用を認めることを意味します。特に世界王座をかけたタイトルマッチは、3分5ラウンド制で行われ、各ラウンド間には2分間のインターバルが設けられます。S1の公式戦は、S1が公認・認定した興行でのみ開催することが許されており、その権威とフォーマットが厳密に守られています。また、S1の国内王座を獲得した選手は、その実績が評価され、最高峰であるS1世界王座への挑戦資格を得る道が開かれます。これにより、国内での成功が国際的な舞台へのステップアップに繋がるシステムが構築されています。

階級制度

S1 Championshipでは、公平な競技環境を提供するため、体重別の階級制度を設けています。S1が公式に定めている階級は、全部で16階級に及び、軽量級から重量級まで幅広いカテゴリーをカバーしています。これにより、様々な体格の選手たちがそれぞれの適正な階級で世界最高峰の王座を目指すことが可能となっています。

S1 Championshipは、ムエタイの本流を継承しつつ、国際的な普及と発展を推進する重要な団体として、世界中のムエタイ界に大きな影響を与え続けています。

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