SAINT LAURENT/サンローラン

SAINT LAURENT/サンローラン

『SAINT LAURENT/サンローラン』（Saint Laurent）は、2014年に製作されたフランスの伝記映画です。監督はベルトラン・ボネロが務め、ファッション界の伝説的人物であるイヴ・サン＝ローランの波乱に満ちた人生、特に彼の創造性と苦悩が交錯する壮年期の約10年間に焦点を当て、その内面に深く切り込んで描かれています。主演を務めるのはギャスパー・ウリエルで、彼の公私のパートナーであるピエール・ベルジェをジェレミー・レニエが演じています。

物語は1967年のパリから始まります。イヴ・サン＝ローランは次々と発表する革新的なコレクションで時代の寵児となり、その名声は揺るぎないものとなっていました。しかし、ビジネスパートナーでもあるピエール・ベルジェが推進する事業の拡大路線は、彼に過密なスケジュールを強いることになります。創造のプレッシャーと日々の雑務に追われる中で、イヴは次第に疲弊していきます。

1971年、新たなインスピレーションを求めて北アフリカのモロッコへと旅立ちます。この地での経験は彼に影響を与えますが、帰国後に発表した新作コレクションは、評論家から厳しい批判に晒されてしまいます。これを機に、イヴは極度のスランプに陥り、斬新なアイデアが枯渇してしまう苦しい時期が続きます。精神的に追い詰められた彼は、当時のファッション界のライバルであるカール・ラガーフェルドの長年のパートナーであったジャック・ド・バシャールとの退廃的で危険な関係に深くのめり込んでいきます。この関係は、イヴの人生にさらなる混乱をもたらすことになります。

キャスト

本作を彩る個性的な登場人物たちを演じた主なキャストは以下の通りです。

イヴ・サン＝ローラン: ギャスパー・ウリエル / 1989年時: ヘルムート・バーガー - 主人公。フランスを代表する孤高のファッションデザイナー。
ピエール・ベルジェ: ジェレミー・レニエ - イヴのビジネス面とプライベートの両方を支える長年のパートナー。
ルル・ドゥ・ラ・ファレーズ: レア・セドゥ - サンローランのミューズでありモデル。
ベティー・カトルー: エメリーヌ・ヴァラーデ - サンローランのミューズでありモデル。
タリタ: ジャスミン・トリンカ - モデル。
ジャック・ド・バシャール: ルイ・ガレル - カール・ラガーフェルドのパートナーであり、イヴ・サン＝ローランとの破滅的な関係を持つ人物。
リュシエンヌ・サン＝ローラン: ドミニク・サンダ - イヴの母親。
ジャン＝ピエール氏: ミシャ・レスコー
アニー・マリー・ムニョス: アミラ・カサール
ドゥーザー夫人: ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ
ルネ: ヴァレリー・ドンゼッリ

作品の評価

本作は国内外で評価が分かれています。

フランス国内の評価サイトであるアロシネ（AlloCiné）によれば、30のメディアによる評価の平均点は5点満点中4.0点と比較的高評価を得ています。

一方、アメリカの映画評論サイトであるロッテン・トマト（Rotten Tomatoes）では、86件の批評家のうち、好意的な評価をしたのは60%にあたる52件にとどまり、平均点は10点満点中5.78点となっています。サイトに掲載されている批評家の一致した見解は、「善意をもって製作されたものの、鑑賞者をいささかもどかしくさせるほど散漫な伝記映画であり、皮肉にもファッションアイコンの人生を描くうえで必ずしも最良の選択とはなっていないことを証明してしまった」と述べられており、作品の構成や焦点を絞りきれていない点を指摘する声も見られます。

フランス国内の権威ある映画賞である第40回セザール賞では、最多となる10部門でノミネートされましたが、受賞に至ったのはアナイス・ロマンが手掛けた最優秀衣裳デザイン賞のみに終わりました。

関連項目

イヴ・サン＝ローランに関する映画は本作以外にも存在します。

イヴ・サンローラン (2010年の映画) - 2010年に公開されたドキュメンタリー映画。
イヴ・サンローラン (2014年の映画) - 本作と同じ2014年に公開された、別の監督・キャストによる伝記映画。

外部リンク

公式ウェブサイト（日本語）
サンローラン - allcinema
SAINT LAURENT サンローラン - KINENOTE
Saint Laurent - オールムービー（英語）
Saint Laurent - IMDb（英語）
Saint Laurent - Rotten Tomatoes（英語）
Saint Laurent - AlloCiné（フランス語）

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