SAR協定

SAR協定について

SAR協定（Agreement on Search and Rescue Regions）は、1979年に発効された「1979年の海上における捜索及び救助に関する国際条約（SAR条約）」に基づき、各国が関与する捜索救助のための協定です。この協定は、海上で遭難している人々を迅速に救助するために、国ごとに適切な海難救助体制を整備し、さらには関連国との連携を強化することを目指しています。これにより、世界中の海域で捜索救助に隙間がない体制を確立することが期待されています。

日本におけるSAR協定

日本は、SAR条約による勧告に基づき、1986年にアメリカ合衆国との間で「日米SAR協定」を、またロシアや韓国との間でも捜索救助に関連する協定を締結してきました。これにより、日本の捜索救助活動は、広大な太平洋の海域での責任を持つことになりました。

日米SAR協定により、日本は本土から約2,200kmに及ぶ海域を担当し、東経165度から北マリアナ諸島近海の北緯17度までを管理します。1989年には海上保安庁とアメリカ沿岸警備隊との間で具体的な協力方法を定めた指針が作成され、機関間の協力体制も強化されました。海上保安庁は、ヘリコプター搭載型の巡視船や遠洋捜索用のジェット機を配置することで、捜索救助の体制を充実させています。

日本はこれに加え、1956年に旧ソ連との間で締結された「日ソ海難救助協定」をもとに、1994年にロシアと新たな協力の指針を策定しました。さらに、1990年には大韓民国とも捜索救助に関する協定を結び、1999年には日本海を囲む地域での実務者会合が開催され、緊密な連携が議論されました。

最近では、2018年に中国とも協力協定を締結し、地域の捜索救助体制がさらに強化されています。日本の広い領海を考慮し、海上保安庁だけでは十分な捜索救助が難しいため、陸上自衛隊や航空自衛隊の協力を得て活動しています。

船位通報制度（JASREP）

日本では、JASREP（Japanese Ship Reporting System）という船位通報制度が運用されています。この制度は、SAR協定を含む海域で航行する船舶からの情報、例えば航海計画や現在位置、最終通報などを管理し、万が一の際には周辺を航行する船舶に対して検索と救助の要請を行うものです。また、アメリカの船位通報システム（Amver）とデータ提携を結んでおり、一方のシステムへの通報が他方にも共有される仕組みになっています。

このように、SAR協定や日本国内の捜索救助体制は、海上での安全を保障するために重要な役割を果たしています。国際的な協力によって、捜索救助活動が強化されており、これにより我国の海上事故に対する迅速かつ効果的な対応が期待されています。

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参考項目

• - 捜索救難
• - 北極捜索救難協定

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