SHADOW/影武者

『SHADOW/影武者』（原題：影）は、2018年に公開された中国映画で、巨匠チャン・イーモウが監督を務めた歴史アクション大作です。主演はダン・チャオとスン・リーが務め、第75回ヴェネチア国際映画祭の非コンペティション部門に出品されました。

この作品は、三国志の荊州争奪戦をモチーフにした架空の戦国時代を舞台に、影武者を主人公にした物語です。史実をベースにしながらも、チャン・イーモウ監督ならではの独創的な世界観と、圧倒的な映像美で観る者を魅了します。

あらすじ

物語の舞台は、弱小国家である沛（ぺい）国。沛国は、かつて領土であった境州を強大な炎国に奪われ、休戦同盟を結んでから20年が経過していました。国内では、若き王の沛良（ペイ・リャン）を中心とする穏健派と、重臣である都督の子虞（ツー・ユイ）を支持する開戦派が対立していました。

ある日、都督は王に、炎国の将軍である楊蒼（ヤン・ツァン）に対し、境州での決戦を申し込んだことを報告します。王は都督の独断行動に激怒しますが、知略に長け、民からの信頼も厚い都督には強く出ることができませんでした。実は、王が王位に就けたのも、先王の死後、都督の功績によるところが大きかったのです。

王は怒りを鎮めるため、琴の名手として知られる都督とその妻である小艾（シャオ・アイ）に合奏を命じます。しかし、小艾は「境州を取り戻すまで琴は弾かない」と固く拒否します。

実は、王の前に現れている都督は影武者でした。都督の子虞は、1年前に刀傷が原因で病に伏せており、その身代わりとして、瓜二つの影武者が表舞台に立っていたのです。影武者は、子虞の叔父によって育てられた過去を持ち、子虞から楊蒼を殺せば自由の身にすると約束されていました。

物語は、影武者が自らの運命に翻弄されながら、国家の存亡をかけた戦いに身を投じていく姿を描きます。影武者の葛藤、策謀渦巻く政治、そして息をのむようなアクションシーンが、観客を作品の世界へと引き込みます。

キャスト

都督/影武者：ダン・チャオ（一人二役）
小艾：スン・リー
沛王：チェン・カイ
田戦：ワン・チエンユエン
楊蒼：フー・ジュン

スタッフ

監督：チャン・イーモウ
脚本：チャン・イーモウ、リー・ウェイ
撮影監督：チャオ・シャオティン
製作：エレン・エリアソフ、チャン・チャオ、リュウ・ジュン、キャサリン・パン、ワン・シャオジュ
製作総指揮：エドワード・チェン、ジェ・リアン、チャンジャオ
編集：シュウ・シャオリン
音楽：Loudboy
美術：マ・グァンロン
衣裳：チェン・ミンジェン
* アクション監督：クー・ヒンチウ


この映画は、アクションシーンの迫力だけでなく、映像美や音楽、そして俳優たちの熱演が見どころです。特に、ダン・チャオが演じる一人二役は圧巻で、影武者の繊細な感情表現と、都督のカリスマ性を巧みに演じ分けています。

チャン・イーモウ監督の独特な世界観が存分に味わえる作品であり、歴史アクション映画ファンのみならず、幅広い層にオススメできる作品です。

もう一度検索