SHADY

尾崎亜美 デビューアルバム『SHADY』

『SHADY』（シェイディ）は、シンガーソングライター尾崎亜美が1976年8月5日に発表した鮮烈なデビューアルバムです。デビューシングル「冥想」とそのカップリング曲「冬のポスター」を含む本作は、東芝EMI/エキスプレスからリリースされました。

背景

アルバム収録曲の多くは、尾崎がデビュー前から書き溜めていた楽曲で構成されています。当時、歌謡曲とは一線を画し、自ら作詞作曲を手掛け、ポップなメロディーとアレンジを取り入れた荒井由実（現・松任谷由実）に代表される「ニューミュージック」という新たな音楽ジャンルが台頭していました。

『SHADY』は、まさにそのような時代に呼応するように、尾崎亜美の新たな音楽性を表現したアルバムと言えるでしょう。バックミュージシャンには、日本のポップスシーンを長年にわたり支えてきた錚々たるメンバーが集結。コーラスには、山下達郎と吉田美奈子が ″AMII'S Army″ として参加しています。

タイトル「SHADY」に込められた意味

アルバムタイトルである「SHADY」は、「影の多い」「陰になった」「薄暗い」「おぼろげな」といった意味を持ちます。このタイトルは、松任谷由実が尾崎亜美の影の部分を表現するために名付けました。

尾崎亜美によれば、松任谷由実は「亜美は明るいけれども、心の中のすごく影みたいなものがあって、でも影を影っていう風に出さないで ″影ちゃん″ みたいなポップな形で描ける人だと思うので、″シェイド″ に ″Y″ をつけて ″キャンディ″ みたいに整理したらどうかと思う。」と語ったそうです。また、尾崎自身もピアノの先生との別れなど、辛い出来事のあった時期に書かれた曲が多かったため、アルバム全体が暗めの雰囲気になったことが、タイトルに繋がっていると述べています。

レコードジャケットとボーナストラック

LPレコードのジャケットと帯には ″SHADY シェイディ/アミ AMII″ と記載されています。ジャケット写真に写るカーリーヘアで少し不機嫌そうな表情の尾崎は、当時流行していた最先端のパーマを試した結果だそうです。また、メイクはリップクリームのみのほぼノーメイクとのことです。

LPレコードのレーベル面では、冒頭の「プロローグ」に曲番が振られておらず、次の「影絵の街」が1曲目として表示されています。

2009年4月22日に発売された紙ジャケット盤（CD:TOCT-26823）には、2枚目のシングル「旅」とそのB面曲「偶然」の2曲がボーナストラックとして追加収録されています。

『SHADY』は、尾崎亜美の才能が輝き始めた瞬間を捉えた、時代を彩る名盤として、今もなお多くの音楽ファンに愛され続けています。

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