SM-64 (ミサイル)

SM-64ナバホ (SM-64 Navaho)

SM-64ナバホは、アメリカ合衆国が1950年代に開発した長距離地対地ミサイルで、超音速飛行が可能な大陸間巡航ミサイルとして位置付けられています。このミサイルは、ノースアメリカン社によって設計され、様々な技術革新を凝らしていましたが、1958年に開発が中止されました。以下に、ナバホの開発経緯や特性について詳しく解説します。

開発の背景

ナバホの開発は、第二次世界大戦の終結後に始まりました。1946年にスタートしたMX-770計画は、核弾頭を搭載した長距離ミサイルの実現を目指し、射程800kmの性能を持つミサイルを構想しました。そこから進展があり、1948年には射程が1,600kmに延びたXSSM-A-2が設計されました。

当初、アメリカ空軍はさらなる性能向上を目指し、射程を段階的に拡大する計画を立てました。1949年にはその計画の一部がキャンセルされましたが、1950年にはWS-104Aとして長距離型のミサイルが開発されることになりました。これに関連して、無人ジェット機のX-10も開発され、ナバホの空力特性や誘導技術の研究が行われました。

ナバホの技術的特性

ナバホは、これまでのミサイルと比較しても高い性能を持っていました。SM-64は主エンジンがロケットエンジンからラムジェットエンジンに変更され、射程の延長を実現しています。具体的には、主翼のデザインにはカナードと双垂直尾翼が採用されており、小型のデルタ翼を持っていました。この設計により、飛行時の安定性や操縦性が向上しました。

発射時には大型の液体ロケットブースターが使用され、垂直に発射される形で運用されました。1956年11月にはケープカナベラル空軍基地での試験発射が開始され、多くの検証が行われました。

SM-64Aは、SM-64を基にした改良型であり、ラムジェットエンジンが二基に増やされ、射程が約10,000kmに達する仕様となりました。加えて、W39核弾頭を搭載することも可能でした。

開発の中止

ナバホの開発が進められる中、アトラス大陸間弾道ミサイルの実用化が近づきました。この弾道ミサイルは、より高速であったため、飛行時間が短く、迎撃のリスクも少ないことから、SM-64の開発が見直される結果となりました。予算が縮小され、SM-64Aの完成も遅延しました。

結局、1957年7月13日にミサイルの開発が正式に中止されることとなりました。一部の試験は続けられましたが、1961年にはナバホ計画は完全に終息を迎えました。

主なスペック

• - SM-64（本体）:

- 全長：20.65m
- 全幅：8.71m
- 全高：2.90m
- 重量：27.2t
- エンジン：ラムジェットエンジン2基
- 最大速度：M2.5（Mach 2.5）
- 射程：約5,600km

• - SM-64A（本体）:

- 全長：26.7m
- 全幅：13.0m
- 重量：54.6t
- エンジン：ラムジェットエンジン2基
- 最大速度：M3以上
- 射程：約10,000km

身心のサポートを受けながら開発が進められていたSM-64ナバホは、その後のミサイル技術に大きな影響を与えました。開発終了の道のりは困難でしたが、その技術的進展は当時の軍事技術の枠組みの中で重要な位置を占めていました。

もう一度検索