SPECTRUM

スペクトラムのファーストアルバム『SPECTRUM』

1979年8月25日に発売されたスペクトラムのデビューアルバム『SPECTRUM』は、その独創的な構成と音楽性で、当時の音楽シーンに大きなインパクトを与えました。

アルバムは、台風のSEと気象情報のアナウンスで幕を開け、そのままシームレスに楽曲へと移行する、というユニークな構成が特徴です。曲間にはほとんど空白がなく、クロスフェードで繋がれている部分も多く、アルバム全体が一つの音楽体験として感じられるでしょう。

歌詞は全て片仮名と英語で書かれており、当時の日本の音楽シーンにおいては非常に斬新でした。ジャケット裏面のスタッフクレジットでは、作詞者として宮下康仁と共に「Satokichi」の名前が表記されていますが、曲ごとのクレジットでは宮下のみの名義となっています。この点も興味深い事実と言えるでしょう。

収録曲と楽曲解説

アルバムには、インストゥルメンタル曲からシングルカットされた楽曲まで、幅広いジャンルの楽曲が収録されています。各曲の解説は以下の通りです。

1. アクト・ショー (ACT-SHOW)
新田一郎と西慎嗣のツインボーカルが特徴的な楽曲です。曲名の由来は歌詞にある「握手しよう」というフレーズから来ています。少年隊がアルバム『PRISM』（1999年）でカバーしたことでも知られています。

2. ファースト・ウエイブ (FIRST WAVE)
スペクトラムのアルバムには必ずインストゥルメンタル曲が収録されていますが、この曲はその最初の例です。スペクトラムの演奏技術の高さを堪能できる一曲です。

3. ノー・タイトル (NO TITLE)
タイトルの通り、「無題」の楽曲です。次の曲への繋ぎのような役割を果たしており、アルバム全体の流れをスムーズにしています。

4. ロリータ (ROLLITA)
アルバムと同時に、「トマト・イッパツ」のB面としてシングルカットされた楽曲です。

5. メモリー (MEMORY)

6. クエッション'81 & '82 (QUESTION '81 & '82)
タイトルはシカゴの「QUESTIONS 67 AND 68」のパロディですが、歌詞の内容も曲調も全く異なります。間奏には「1920、アミューズ・カンパニー」のメロディが挿入されています。

7. パッシング・ドリーム (PASSING DREAM)

8. トマト・イッパツ (TOMATO IPPATSU)
アルバムと同時発売のファーストシングルで、スペクトラムの代表曲です。シングルのタイトル決定時、新田一郎が「トマト（というタイトル）一発でいきましょう」と提案したところ、担当者が勘違いして「トマト・イッパツ」というタイトルで発表したという逸話があります。少年隊はシングル「デカメロン伝説」（1986年）のイントロで、この曲の歌詞の一部である「ワッチコン」をアレンジした「ワカチコン」というフレーズを挿入しています。

9. ロックン・ロール・サーカス (ROCK'N ROLL CIRCUS)

10. 1920、アミューズ・カンパニー〜スマイル・フォー・ミー (1920, AMUSE COMPANY〜SMILE FOR ME)

11. トマト・イッパツ (Single Version)
アルバムバージョンよりも短く、フェードアウトで終わります。

12. ロリータ (Single version)
こちらもアルバムバージョンより短くなっています。

13. 裕矢のテーマ (YUYA MY LOVE)
スペクトラムの前身バンド「ホーン・スペクトラム」時代に発売されたシングルです。ジャケットにはアーティスト名の表記はありません。

14. サーキットのバラード
「裕矢のテーマ」のB面として収録されました。

『SPECTRUM』は、スペクトラムの音楽性を広く知らしめた作品であり、日本のフュージョン音楽の歴史においても重要なアルバムの一つと言えるでしょう。

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