SPHERE (林原めぐみのアルバム)

林原めぐみ 5thアルバム『SPHERE』：珠玉のオリジナル楽曲集

1994年、日本の音楽シーンに新たな輝きを放った一枚――林原めぐみの5作目のオリジナルアルバム『SPHERE』。本作は、彼女がこれまでに発表してきたキャラクターソング集とオリジナルアルバムを交互にリリースしてきた流れを汲みつつ、オリジナル楽曲に特化した3作目として、大きな注目を集めました。

『SPHERE』の魅力は、何と言っても全13曲に渡る、聴き応えのあるオリジナル楽曲の数々です。アルバムのために書き下ろされた楽曲たちは、林原めぐみの透き通る歌声と、繊細かつ力強い表現力で、聴く者の心を深く揺さぶります。当時、シングルとしてリリースされた楽曲は収録されておらず、アルバムとして初めて聴く楽曲も多く含まれています。その新鮮さも、本作の魅力を高めています。

さらに特筆すべきは、収録曲のうち4曲が、林原めぐみ自身による作詞である点です。「MEGUMI」名義で作詞を手掛けたこれらの楽曲は、彼女自身の内面を反映した、深く個人的な表現が特徴です。彼女のソングライティングの才能が、本作を通して存分に見ることができます。

『SPHERE』は、林原めぐみにとって大きな転換点となりました。本作は、ソロ名義で活動する声優歌手として、史上初めてオリコン週間チャートTOP10入りを果たした記念碑的な作品なのです。これは、声優業界における彼女の地位を確固たるものとしただけでなく、音楽シーン全体に大きなインパクトを与えました。この快挙は、彼女の才能と人気を証明するだけでなく、声優という枠を超えた、アーティストとしての彼女の真価を示しています。(シングル「Give a reason」でも、1996年に同記録を達成しています)

アルバムタイトルの『SPHERE』は、英語で「球」または「球体」を意味します。このタイトルは、アルバム全体の世界観や、楽曲群が織りなす多様な感情を象徴していると言えるでしょう。ジャケット写真は、インドネシアのバリ島で撮影されました。エキゾチックな風景と、林原めぐみの神秘的な表情が、アルバムの世界観をより一層引き立てています。

2005年には、この名盤が初回限定盤として復刻されました。紙BOX仕様に、ブックレットを同梱した豪華仕様で、当時購入できなかったファンにも、新たな形で届けられました。この復刻版は、オリジナル版の価値を高めると同時に、後世に『SPHERE』の魅力を伝える役割を果たしています。

『SPHERE』は、単なる音楽作品を超えた、林原めぐみというアーティストの軌跡、そして、声優という枠を超えた表現の可能性を示した、記念碑的作品と言えるでしょう。その美しいメロディー、心に響く歌詞、そして圧倒的な歌唱力は、今もなお多くのリスナーを魅了し続けています。彼女の音楽史における重要な1ページとして、『SPHERE』は、これからも語り継がれていくことでしょう。

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