SPP-1水中拳銃

SPP-1水中拳銃の概要

SPP-1水中拳銃は、ソビエト連邦で開発された水中専用の銃であり、特にフロッグマンと呼ばれる水中戦闘部隊によって使用される目的で設計されました。この銃は1960年代後半に設計され、1971年にその使用が正式に認可されました。水中戦闘では通常の弾薬がもたらす制約があるため、SPP-1は独自の設計思想に基づいています。

設計と機能

SPP-1水中拳銃は、4本の銃身を持ち、それぞれに弾薬を1発ずつ装填できます。これにより、発射前に4発の弾薬を同時に用意し、瞬時に発射することが可能です。弾薬は特製のクリップを使用して結束され、拳銃の薬室に装填されます。

水中では水圧の影響により弾道の安定が確保されなくなるため、SPP-1はライフリングのない滑腔銃身を採用しています。これにより、流体の力学的効果を利用して発射体の直進安定性が得られますが、水中で発射すると性能を発揮する一方、空中での発砲では弾道が不安定になるという特性があります。

撃発機構はダブルアクション式で、トリガーを引くことで1発を発射します。再装填は水中でも水上でも可能で、その使い勝手の良さも特徴です。

SPP-1Mとの違い

SPP-1の改良版として登場したSPP-1Mも大変注目されています。大きな違いは、そのトリガー部分に改良されたスプリングを導入したことで、トリガープルが向上している点です。また、ダイビンググローブを着用した状態での使用を考慮し、トリガーガードが大型化されています。設計に関しては、ヴラディミール・シモノフが関わり、弾薬の構成にはピョートル・サザノフとオレグ・クラフチェンコも関与しています。

性能の特性

SPP-1水中拳銃の性能は、その水中利用において優れた貫通力を持つことにあります。水圧の影響を受けるため、射程は著しく短くなりますが、発射体がスーパーキャビテーションを発揮している限り、流体抵抗は最小限に抑えられます。従いまして、実際の有効射程は、保護スーツや5mm厚のガラスを容易に貫通できる距離として定義されています。

この銃は、トゥーラ兵器工場（TOZ）で製造され、ロシアの国家機関であるロソボロンエクスポルトが輸出を担当しています。

採用国

SPP-1はシリア海軍によって採用され、特に水中作戦においてその能力を活かしています。

参考文献

本銃についての詳しい情報は、Charlie Cutshawによる「The New World of Russian Small Arms & Ammo」に掲載されています。また、関連情報や技術仕様は多くのウェブサイトで公開されています。

もう一度検索